今週は国内平地G1最長距離で頂点を競う天皇賞・春(芝3200メートル、5月4日=京都)が行われる。
青森産馬からグリーングラス以来の天皇賞馬が誕生するか-。ハヤテノフクノスケ(牡4、中村)を生産した八戸市近郊のワールドファーム村上幹夫場長(48)は「年明け2走が良かったので、ものすごく期待しています」と声を弾ませる。3歳時は2勝クラスの身で菊花賞に参戦してアーバンシックの8着。4歳を迎えて舞鶴特別を4馬身差、阪神競馬場リニューアルオープン記念を5馬身差で圧勝してオープン入り。3000メートルの前走は時計も3分2秒9と速かった。「勝つ時はちぎるんですよね。テレビで見ていましたが、うれしかった」。未勝利戦は5馬身差、2勝目は3馬身差だった。
父ウインバリアシオンはオルフェーヴル世代でダービー2着、菊花賞2着、天皇賞・春3、2着、有馬記念2着とG1には届かなかったが長距離戦線をにぎわせた。県内のスプリングファーム(十和田市)でけい養されている。
「ウインバリアシオンが来た時に、同じ繁殖に付けて良かったので、もう1度付けました。生まれた時は他の子よりもひと回り大きくて形も良かった。走る子特有で手がかからず、これといったエピソードもないんですよ。おとなしくて、けがもなかった」と幼少期を振り返る。母サクラインスパイアはサクラチヨノオーやサクラホクトオーなど多くの名馬を出した名門スワンズウッドグローヴ系で、谷岡スタット(北海道新ひだか町)から無償で譲り受けた繁殖牝馬のうちの1頭だという。
青森県はかつて北海道と並ぶ馬産地でダービー馬も5頭誕生した。北海道産が中心になった1970年代前後以降も断続的に活躍馬を送り出し、84年のグレード制導入後はタムロチェリー(01年阪神JF)が唯一のG1馬となった。昨年の生産頭数は76頭で全体の約1%。そうした状況の中からハヤテノフクノスケが勇躍、淀の3200メートルに挑む。「そこそこは走ると思っていましたが、菊花賞に続いて天皇賞に出るほどになるとは。牧場でXを始めてから、多くのファンから贈り物も届いてありがたいことです。まずは無事に舞台に立ってほしい」。決戦前日の5月3日は全きょうだいの出産予定日。牧場の夢は果てしなく広がる。【岡山俊明】
◆ワールドファーム(青森県三戸郡)牧場としては約70年、現在の牧場名になって約50年の歴史がある。繁殖牝馬の数は預託も含めて10頭。主な生産馬に16年ジャパンダートダービー(Jpn1)を勝ったキョウエイギアや06年エンプレス杯(G2)のローレルアンジュがいる(村上幹夫名義を含む)。
◆青森産の天皇賞馬 1938年ハセパーク(春)、43年グランドライト(春)、54年ハクリヨウ(春)、58年オンワードゼア(春)、58年セルローズ(秋)、62年オンスロート(春)、65年アサホコ(春)、67年カブトシロー(秋)、78年グリーングラス(春)と9頭いる。天皇賞・春の出走は20年ミライヘノツバサ(12着)以来5年ぶり。

