悲願達成はこの勝利から-。武豊騎手(57)がメイショウタバル(牡5、石橋)で自身2週連続のJRA・G1勝利を連覇で飾った。春グランプリ制覇は6度目。

いつもの逃げの手ではなく、番手で折り合いをつけるさすがのリードを披露し、タバルの父ゴールドシップとの父子連覇もアシストした。秋は凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月4日=仏パリロンシャン)挑戦が前向きに検討されている。

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雨は降る降る、人馬はぬれる。仁川の坂を越したのは、泥をかぶったメイショウタバル-。強豪がそろったグランプリのタイトル防衛戦で、頂点の座を守り切った。

これまでとはひと味違う勝利だった。近走は逃げるスタイルが定着していたが、今回はコスモキュランダにハナを譲った。2馬身ほど離れた2番手で、折り合いは非常にスムーズ。武豊騎手は「今までだと前に馬がいるとムキになって追いかけていく気性だったけど、落ち着いて走ってくれた。そういうことも想定した、いい調教をしてくれていた」と振り返る。大人になったタバルが、鞍上のプランに応えてみせた。

空からのエールもあった。レース20分前、予報にないゲリラ豪雨が阪神競馬場を襲った。馬場状態は良馬場から一気に重馬場へ。雨風が吹き荒れて騒然となったスタンドを横目に「嫌な気持ちではなかった」と鞍上。「天国から松本(好雄)会長が降らせてくれたのかな」。道悪はタバルの得意分野。昨年8月に急逝したオーナーを思い、空を見上げた。

武豊騎手にとって故・松本好雄オーナーは、父・邦彦元調教師の大親友ということもあり、その所有馬には長年騎乗してきた。石橋師とは小学生からの付き合いで、幼少期は家で一緒に競馬中継を見ていたという。石橋師がジョッキー時代にダービーを勝ったメイショウサムソンは、オーナーが2人に相談した上、武豊騎手に手綱が渡った。

昨年の宝塚記念は縁が深い3人のタッグでG1初勝利。武豊騎手が後日、タバルの故郷、北海道浦河町の三嶋牧場に行くと、オーナーも牧場を訪れていた。松本好雄オーナー、武豊騎手、三嶋取締役が顔を合わせ「言葉もなく涙、涙だった」。凱旋門賞挑戦のプランも上がるなか、オーナーの希望で国内に専念。海外挑戦は来年(26年)以降、という話で落ち着いたという。

大阪杯2着後に、今秋のフランス遠征検討が発表されたが、あくまでも「宝塚記念の結果次第」。タバルが明快に答えを出した。G1馬5頭が集まったハイレベルなグランプリでの堂々たる勝利。大阪杯で敗れたクロワデュノールも真っ向勝負でねじ伏せ、挑戦にふさわしい結果を示した。

「胸を張ってフランスに行けると思います!」。武豊騎手の力強い宣言に、ウイナーズサークルは熱く沸いた。人々の夢を背負い、走りで夢をかなえてきたメイショウタバル。日本馬未到の頂点、凱旋門賞制覇という大きな夢が託された。【下村琴葉】

◆メイショウタバル ▽父 ゴールドシップ▽母 メイショウツバクロ(フレンチデピュティ)▽牡5▽馬主 松本好隆▽調教師 石橋守(栗東)▽生産者 三嶋牧場(北海道浦河町)▽戦績 15戦6勝(うち海外1戦0勝)▽総獲得賞金 8億6633万8600円(同2355万3600円)▽主な勝ち鞍 24年毎日杯(G3)神戸新聞杯(G2)25年宝塚記念(G1)▽馬名の由来 冠名+熊本県の地名

◆民謡・田原坂 「雨は降る降る 人馬はぬれる」の歌い出しで有名な熊本県の民謡「田原坂」。西南戦争(1877年)を題材としており、当時の激戦地・田原坂には雨が降り続いていたという。メイショウタバルの馬名は、冠名(メイショウ)+田原坂の地名に由来する。