逸見酒造/佐渡市
「40~50度にかんをつけて飲むのもおすすめです」(逸見明正社長)

 逸見酒造といえば、近年ではテレビ番組がきっかけで全国から注文が殺到し、日本酒の新たな味わいを伝えるきっかけとなった「至(いたる)」の蔵元として知られている。フレッシュな香りと味わいが、若者や女性を中心に好まれている。

 代表銘柄である「真稜(しんりょう)」は、もともとは「真陵」と書き、史跡の里・真野の宝でもある順徳上皇真野御陵から命名。「至」の商品名は最初は「真稜 純米吟醸酒」だったが、数年前に地元の酒販店から「何かネーミングを」との要望を受け、酒販店とともに考えて命名。旧真野町長を務めた先々代の名前に由来する。

 1872年(明5)に農業を家業としていた初代が米を加工して酒造りを始め、現在は5代目の逸見明正社長が杜氏として、8人の蔵人とともに手造りの酒を醸している。佐渡で一番小さな蔵元である逸見酒造の今回の1本は「真稜 山廃純米大吟醸」。地元産の越淡麗を使った、県内でも数少ない昔ながらの山廃仕込みの純米大吟醸酒だ。個性的な酸味のある味わいは、いまやこの蔵の代名詞にもなっている。

 山廃仕込みによる独自の味わいを表現するための大きな要素に仕込み水がある。新潟県では軟水や超軟水の地域が多い中、逸見酒造の仕込み水は中硬水。地下に堆積する貝殻層にろ過された、近くを流れる国府川の伏流水は、京都の宮水に近いともいわれている。「水にも味があるとよくいわれますね」と逸見明正社長。その水を生かし「〝きれいで軽い〟より、〝味がある〟酒を目指しています」。毎年違う米、違う気候条件の中で、蔵人がひとつになり、佐渡の蔵元としてぶれることなく独自の味わいを追い続ける。【高橋真理子】

[2017年6月24日付 日刊スポーツ新潟版掲載]