この広島との2試合は、目の前の勝敗もあるが、来季を見据えたテストの意味合いでオーダーを組んでいる。すでにフロントと現場は来季へのチーム編成を話し合っているはずだ。ここにきて、マルテを昇格させたが、首脳陣の中で来季も助っ人野手3人制を採用する可能性がゼロではないということだろう。なぜ大山を右翼で使うのか、という疑問の声があるかもしれないが、近大佐藤が注目されるドラフトで野手を指名しなかった場合のプランということが十分に考えられる。これはユニホームを着た人間にしか分からない動きだ。

そういう点では、リリーフで結果を残す藤浪も、助っ人編成の方向性とリンクする。私は来季、中継ぎのパワーピッチャーの補強が必要だと考えているが、それは藤浪で補える。1イニングでは、直球、スライダーと少ない球種でいい。先発時にはスライダーを多投し、腕の回転が横振りになるという悪い傾向がみられたが、今は上からしっかり振れている。軸足への「ため」ができているので、ボールに体重が乗っている。藤川も今季限りで引退する。来年はスアレスを8回で起用し、藤浪をクローザーとして育てていくのもアリだ。選手を生かすことがチームのためにもなる。その場合、先発は日本人でまかなっていくことになる。いずれにせよ、来季に目を向ける、そういう時期に入っているということだ。(日刊スポーツ評論家)

阪神対広島 7回表広島1死一塁、会沢の右飛を捕球し内野に返球する大山(撮影・岩下翔太)
阪神対広島 7回表広島1死一塁、会沢の右飛を捕球し内野に返球する大山(撮影・岩下翔太)