日本ハム吉田輝の投球には、確実な成長の跡が感じられた。ストレートの力強さが最大の特徴だが、初回の柳田の初球には150キロも計測。4回の松田宣の3球三振は、狙いにいって奪えたものだ。指にかかった真っすぐはプロでやっていけることを十分証明していたし、しっかりと打者と勝負できていたことが、何よりもよかった。

投球パターンにも先発としてのセンスを感じた。4回、先頭の長谷川に対しては、外角からのスライダーで簡単にストライクを先行させた。打たれるのを嫌がる投手はコースを狙って四球を出したり、甘く入って痛打されてしまうものだが、アバウトに初球からストライクを取れるのは才能の1つだ。

フォークで2打席連続三振を奪っていたグラシアルに、5回に中前適時打を許したが、これは清水のサインに首を振って直球を選択した結果。「オレの速球で勝負する」という気持ちの強さを感じたし、今は打たれていく中で成長の材料を探していく段階。3失点した次の6回を「0」に抑えたことも含め、評価できる内容だった。(日刊スポーツ評論家、侍ジャパン投手コーチ)