日刊スポーツ評論家の上原浩治氏(45)が、7回1失点の好投で今季初勝利を挙げた巨人先発の戸郷をチェック。完投能力を備えるためのポイントを挙げた。

巨人先発の戸郷(撮影・足立雅史)
巨人先発の戸郷(撮影・足立雅史)

開幕2戦目は将来のエース候補、戸郷が先発したが、期待通りのピッチングを見せてくれた。昨年までは長いイニングを投げるスタミナと、1年間を投げ続ける体力が課題に挙げられていたが、弱点を解消する期待を抱かせてくれる内容だった。

今シーズンの初登板で、まだ完投を狙うような時期ではない。それでも打線は初回から得点を挙げ、序盤の3回までで4点をリードしてくれた。しかし開幕戦の初回に3点のリードをもらった菅野がリズムを崩したように、ピッチングに変化をつけようとして調子を崩す時がある。戸郷はまだ高卒3年目の投手だが、どんどんとストライクゾーンに投げ込み、6回まで理想的な完封ペースで試合を進めていった。

ストライクゾーンで勝負できる球威があるから、どんどんと勝負できる。言葉にすると簡単そうだが、威力のある真っすぐをストライクゾーンに投げ続けるためには、投球フォームが安定していなければできない。昨年までの2年間で、確実に成長している。

7回表DeNA無死、佐野にソロ本塁打を浴びる戸郷(撮影・狩俣裕三)
7回表DeNA無死、佐野にソロ本塁打を浴びる戸郷(撮影・狩俣裕三)

もったいなかったのは、7回に浴びた佐野のソロ。このイニングの佐野と宮崎を抑えれば、展開的にも「完封」や「完投」の2文字が見えてきたはず。しかし、先頭の佐野に146キロの真っすぐを右中間に本塁打された。次打者の宮崎に対する攻め方と比べると、少し抜いて投げたように見えた。

勝負どころはチームの勝ち負けだけではなく、完投するための勝負どころもある。おそらく100球前後で降板する予定で、完投を意識する必要はなかっただろうが、この先、完投できる投手になるためにも「抜きどころ」を間違えてはいけない。ここさえ間違わなければ「抜いて投げる技術」を向上させる試合展開にできたはずだ。

完投できるような投手になれば、もっと大きくチームの勝利に貢献できる。高卒3年目とはいえ、戸郷の球質や制球力を見る限り、プロ入り後、まだ完投がないのが信じられないほどの能力を持っている。完投を狙うための勝負どころを見極め、力を抜いて投げるコツさえつかめば、エースになれる。大きな飛躍を期待している。(日刊スポーツ評論家)

移籍後初本塁打の巨人梶谷(左)と今季1勝目の戸郷はポーズを決め笑顔(撮影・足立雅史)
移籍後初本塁打の巨人梶谷(左)と今季1勝目の戸郷はポーズを決め笑顔(撮影・足立雅史)