西勇は悪いなりにまとめることができる投手だが、今季は手先で投げ、球離れが早いように見受けられる。これでは持ち味の変化球が早く曲がり、打者目線で言えば、打ちやすい。

6回1死一、二塁でオースティンに初球の内角シュートを右前に運ばれ、3点目を失った。相手は長打力のある4番。調子のいい時は、内角のボール球から入っていただろう。この場面、プレートを一塁側に立つ西勇は、甘いコースから内の厳しいコースに軌道を描くはずが、打者にとって、角度的に甘く映っただろう。初球をストライクゾーンから入ったのは、気持ちの面で粘りがなかったのではないか。上下のコントロールも正確性を欠き、決していい状態とは言えない。

その裏、首脳陣は西勇に代打を送られなかったが、続投はありだ。少ない球数で降板すると、調子が上がらないことがある。特に西勇はDHのあるパ・リーグで、ある程度、長いイニングを投げるリズムで育ってきた。7、8回と走者を出しながら、しのいだ。復調につながる2イニングになるかもしれない。さらに言えば、9回打ち切りとはいえ、継投ばかりしていると、リリーフ陣も疲弊する。最近は安定感がなくなってきている。先発投手にがんばってもらわないといけないところだ。

打線に関しては、序盤の失点で取り返そうという気持ちはあっただろうが、きれいに打って点を取る意識が出過ぎていた。配球をしっかり読んだり、球数を投げさせることを考えないと、いい投手は打てない。相手投手から嫌がられるようなタイプの打者が必要だ。

2位巨人と4・5ゲーム差になった。今はゲーム差よりも貯金をどれだけ増やすかが大事だ。これからは勝率5割でいい、という考えもあるが、そういう姿勢では貯金が減る。どんどん貯金を増やすという気持ちで戦うべきだろう。(日刊スポーツ評論家)