阪神は後半戦スタートから負け方が悪かった。まず前半戦を引っ張ってきた「打」のマルテ、「投」のスアレスが不在では、厳しい戦いになるのは予想ができた。逆に相手の広島にすれば、なんとか先に点を奪えば勝機を見いだせると読んだに違いなかった。

そこへもって先発の西勇が誤算だった。1回のヨーイドンで4点を献上し、阪神はたちまち劣勢に立たされた。広島としては思うツボだったということだ。また阪神にとって残り試合が最も多いのが広島戦だけに勝ちきっておきたかった。

前半戦の終盤から西勇の投球をみていると、相手打者に腰を引かせたり、泳がせたりする本来のらしさを欠いている。野間のソロ本塁打を含む5長短打は、4安打までが左打者にとらえられたもので、まんまと打たれた感じだった。

今季初対戦になった広島大瀬良には1回の4点で楽にさせてしまった。要所ではギアを上げられ加点できず。ないものねだりをしても仕方がないが、マルテがいれば…といった場面も見受けられた。ロハスも内容的には悪くなかったが“穴”が見えているようでもあった。

ここで1ゲーム差に迫られた巨人にしても決してチーム状態が良いとは思えない。まず西勇の復調がカギを握る。イニングを稼ぐといっても、チームにとっては勝たなければ意味がない。チームはマルテ、スアレスの戦列復帰まで耐えながら勝っていくしかない。(日刊スポーツ評論家)

阪神対広島 2回を終えベンチへ引き揚げる西勇(撮影・加藤哉)
阪神対広島 2回を終えベンチへ引き揚げる西勇(撮影・加藤哉)