阪神は開幕7連敗。長いシーズンを考えれば、どんなチームにも“不調時”は必ずあるもの。しかし、開幕直後からこれだけ連敗が続くと、その原因を考えざるを得ない。思い当たる要因は、この試合にもたくさん見られた。

まずは開幕投手を務めた藤浪が、中6日で2度目の先発になった。4回を投げて6失点。結果を度外視すれば、腕の振り遅れを直すため、トップを早めに作ろうとフォームを矯正し、昨年よりはいい。しかし、まだまだ根本的な「制球難」や「体の開き」が大きく改善されたわけではない。エース菅野と投げ合って、とても連敗を止められるようには感じなかった。

開幕投手を予定した青柳が新型コロナウイルスに感染。エースの離脱が想定外なのは同情できる。それでも離脱が判明したのは3月16日。開幕ローテーションを再編できるギリギリの日程だった。

開幕2戦目を予定していた藤浪に、力がないと言わない。しかし藤浪のチーム内での立ち位置は「好調時のピッチングを取り戻してほしい先発投手」。開幕投手はしばらく、対戦チームのエースと投げ合わなければいけない。勝ち星を重ねて余裕を持たせられるポジションではない。それだけに青柳やガンケルが復帰するまでは、藤浪ほどの爆発力はなくても西勇や秋山の方が良かったと思う。

守備も相変わらずだった。技術力は簡単に上がらないが、基本的なプレーも一向に良くなっていない。バウンドの合わせ方など、なかなか上達しないプレーもある。しかし走者へのタッチの仕方はすぐに直せるし、グラブの出し方も丹念に続けていけば1~2年で直せる。今試合でも基本動作ができていないプレーがたくさんあった。

この日は抑えの出番がなかったが、守護神の人選も間違った。チームにとって重要な役割だけに、新外国人のケラーに任せるにしても、オープン戦でしっかり投げられるかどうかを確認しておかなければいけないだろう。

勝負事というのは、なかなか思った通りにいかないもの。それでも、しっかりとした準備や方針があれば、これほど「ふに落ちない」と感じることはない。阪神にとって、厳しいスタートとなった。(日刊スポーツ評論家)