阪神西勇輝にとっては余裕がありすぎるほどの好投だった。3回までに7点の援護をもらったから、巨人の本塁打を警戒することもなく、ピッチングが窮屈にならず、8回をノビノビと投げきった。

この日の捕手は、リーグ戦再開後初となる坂本とのコンビだった。キャッチャーの軸になるのは梅野だが、前日12日巨人戦での配球を考慮してのことかもしれない。お互いに刺激を与える意味ではタイミングが良かった。

だが試合内容は、両チームあわせて計6失策(阪神2、巨人4)に暴投が絡み、走塁ミスなども目について締まりがなかった。阪神は巨人メルセデスがボールのキレを欠き、制球が定まらないところにつけ込むことができた。

阪神はチーム力で巨人を上回っている。これで西勇が立ち直り、リリーフ陣も安定しているから、打力のカバーさえあれば上位浮上は現実味を帯びてくる。投手力がボロボロの巨人とは対照的だ。

その打つほうは、大山が外れたが、マルテが戦列に復帰してきた。マルテのプレーをみていると100%ではなさそうだ。ただ、後にこの2人がそろえば、機動力は低下するが得点力アップは望める。

オールスター戦まで残り10戦となった阪神は、借金を3ぐらいまで減らして終盤のチャンスをつかみたい。ヤクルトに次ぐ2位までは手が届く位置にいるだけに、カード3戦目は負けられない戦いになる。(日刊スポーツ評論家)

阪神対巨人 お立ち台でガッツポーズする、左から阪神西勇、中野、近本(撮影・前田充)
阪神対巨人 お立ち台でガッツポーズする、左から阪神西勇、中野、近本(撮影・前田充)