阪神のミラクル逆転Vは実現するのか。後半戦開幕に合わせ、元阪神監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(69)が緊急提言。球界屈指の投手力を生かすためのポイントとして、「佐藤輝の4番固定」と「適切な守備配置」を挙げた。

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阪神は前半戦で借金を完済した。11ゲーム差はあるが、首位ヤクルトの投手陣は盤石とは思わない。近づけるチャンスは十分にあると考える。12球団トップクラスの投手力をいかに生かすかが後半戦のカギになる。

開幕から得点力不足に苦しんだ打線が上向いているのは、プラス材料。1番中野、3番近本ら足の速い選手を上位で固定できたのは大きい。いかに好調を持続させるか。打線の形を崩さずに戦えるかがポイントだろう。

4番を打つ佐藤輝は7月の本塁打が1本だけと1発は減った。技術面ではバットをボールの軌道に早く合わせようとしている。これは調子が悪くなった打者なら誰でも陥りがちだ。そのためバットのヘッドが早く出てしまい、「しなり」が消えている。ただの棒のようになり、打球が飛ばなくなる。とらえたと思った打球が伸びずに、外野フライになる場面が見られたのも、そのせいだ。ムチのように振らないといけない。

だからといって、簡単に4番を外すべきではない。体力面の課題は解消しつつあるし、去年の不調時に比べると、今年は打席で何とかしている。周囲は1発ほしい場面で本塁打がないのは物足りないかもしれないが、佐藤輝は、相手投手からすれば、やはり脅威だ。卑下して、打順を替えたり、試合から外すと、相手も戦いやすくなる。自分のチームで評価を下げる必要はない。どっしりと構えて中心に置けばいい。

もう1つポイントになるのが守備だろう。ここ数年は打力優先の選手起用が続く。慣れていないところを守らせるので、やらなくていい点を与えてしまう。打力と守備力、このバランスを考えて、1つ1つのポジションで誰が適任かを考えるべきだ。1点勝負の試合で、エラーで1点を失えば、投手力を生かせない。落ち着いてできるポジションで起用することが大事になる。後半戦では1点が勝負を大きく左右する。首位を追いかける立場としても、無駄な失点は避けたい。そうすれば、逆転優勝の可能性は高まるはずだ。