衝撃的なヤクルト村上の3打席連続アーチを見せつけられた。阪神はこの“怪物”の3発によってカード3連勝を逃した。

大石　村上1人にやられてしまった。左、右、左と打ち分けられたが、ちゃんと打てばどこにでも入るという自信の表れだろう。阪神ベンチが2点リードの7回にガンケルから渡辺に継投したのはいいタイミングだった。その渡辺がスライダーを左に打たれたのは村上が一枚上。9回1死から岩崎が右に引っ張られた同点ソロは、村上が初球のストレートを狙っていたふしがある。ただ延長11回の勝ち越し2ランは回避できたのではないだろうか。

同点の11回2死一塁。村上を迎えた石井のカウントは2球続きのボールで2－0になった。3球目のカーブをまんまと左翼スタンドに運ばれた。

大石　あそこは村上を一塁に歩かせる選択肢もあった。勝負するか、しないか。つまり最初から四球、あるいは2ボールになった時点で歩かせてもよかった。9回の本塁打は次打者がサンタナだったが、11回の場面は渡辺だった。それに長打でも一塁走者山崎が長駆ホームインする可能性もあった。阪神ベンチは攻撃で代打、代走などで仕掛けていたから、あそこも動いてもよかった。村上を歩かせることで得点圏に走者を進めるリスクはあるが、それまでの打席をみていたら勝負を避ける決断も必要だったはずだ。

それでも阪神は首位ヤクルトにカード勝ち越しを決めた。

大石　攻撃面は5回の好機でなんとか1点でもとっておけばというのはあった。またヤクルトのリリーフ陣も大きく崩れそうにない。確かにもったいない負けだったが、チーム状態は悪くない。次の巨人、広島の6連戦を落とさないことだ。【取材・構成＝寺尾博和編集委員】