レギュラーシーズンならミスとは言えない1球が、CSの超短期決戦では“失投”になる。西武バッテリーにとって「さすがにないだろう」という考えが、初戦の明暗を分けた。
3回2死二、三塁で柳田を迎えた。第1打席はスライダー、カットボールと全5球を内角に集め、空振り三振。シーズンを通したデータで内角が有効という分析があるのだろう。この場面でも2球で2ストライクと簡単に追い込み、3球目に内角スライダーを選択した。
悪いボールではなかった。膝元に食い込む、ストライクゾーンぎりぎりの球。だがゾーン内だったからこそ、柳田に技術で捉えられた。3球勝負でボールでもいい状況。高橋にも森にも、その意識はあったはずだが、ゾーンに入ってしまった。打ち取っても不思議ではないスライダーは3ランとなり、結果的に“失投”になってしまった。
直前の三森の先制適時二塁打も「さすがにないだろう」と考えたのだと思う。初回は全4球フォークを振らせて二ゴロ。3回1死一、二塁でのこの打席も、初球のフォークに手を出させてファウル。2球目で初めて投じた直球を左中間に運ばれた。
三森は最初の打席から、直球に合わせたタイミングでフォークも振っていた形だった。バッテリーも感じており、初回から通じて5球連続フォークで攻め、意識を植え付けてから、直球を選んだ。だが、それでも相手はフォークよりも直球への比重が高かった。
143試合を争う中では、直球の選択は正解になったかもしれない。だが短期決戦では打者も腹をくくり、いつもとは違う仕掛けをすることもある。相手の腹づもりを感じられれば、攻め方も変えられた。
CSファーストステージの初戦敗戦は重い。初戦敗戦からの逆転突破はセ・リーグで過去14回で2回、パ・リーグで17回中3回。西武の状況は厳しい。
当たり前と思われるだろうが、気持ちの切り替えが何より大事だ。私も中日時代の09年、ファーストステージ初戦でヤクルトに敗れた。自らスクイズも失敗。試合後、初戦の反省と2戦目へ頭を巡らせたが、悶々(もんもん)としたまま。普段、短期決戦中はあまり外出はしないが、この時は食事に出掛けた。席についても失敗の場面をグルグルと思い返し、食欲もわかない。けれど、おいしいステーキを食べているうちに力がみなぎったような気持ちになり「よし明日はやるぞ」と切り替わった。実際に2戦目はホームランを打ち、ファイナルステージに進んだ。
単純だが、気持ち1つでプレーは変わる。ソフトバンクにもミスが多く、西武もチャンスはある。(日刊スポーツ評論家)




