オリックス山本由伸は、三振を奪って抑えたからといって派手なパフォーマンスをみせるわけでなく、高ぶった表情を見せることなく淡々とゲームを支配した。こちらから見ていて、つくづく成長を感じさせるマウンドさばきだった。

何かがレギュラーシーズンと変わったわけでもない。山本が、山本らしい投球をしたという意味で、予想通りの1勝だ。逆に野手の方が序盤から固くなって、前のめりの印象が強かった。またそれを落ち着かせたのも、エース山本の姿だった。

最近は変化球で入るスタイルも多くなっていたが、どの球種でもカウントを稼げて、どの球種でも勝負ができる。ストレートで追い込んだ後、スライダーで打ちとる、あるいはフォークで封じるといった2種類ぐらいの持ち球に特長のある好投手はいくらでもいた。

だが山本のように抜群の制球力で、いかなる球種をも操れる投手は珍しい。わたしが計116球を見た限りコントロールミスをしたのは1、2球。少しばらつけば狙い球も見つかっただろうが“スキ”をみせなかった。

特に柳田をはじめソフトバンクの左打者は、あれだけ厳しくインサイドを突かれ、あのフォークを投げられたら、打ちあぐねたのも当然だった。5回1死二、三塁のピンチを迎えた山本だが、本来は慎重になりがちなところを、逆にギアを上げてノーミスで乗り切ったのはさすがだ。

7回は吉田正が技ありの本塁打を放ったが、シーズン終盤からの打撃内容からすると、だれが投げてきても打ち返されそうだ。逆にソフトバンクが続けざま無駄な四球を出したのは、プロとして恥ずかしい。オリックスとしては計算ずくの1勝だったといえる。(日刊スポーツ評論家)

オリックス対ソフトバンク 先発・山本由伸(撮影・梅根麻紀)
オリックス対ソフトバンク 先発・山本由伸(撮影・梅根麻紀)