阪神が敵地で逆転勝ちを飾り、第1戦を制した。博多で行われた日本シリーズの試合は過去7戦7敗だったが、ついに“博多の呪縛”を解いた。日刊スポーツ評論家の桧山進次郎氏(56)は6回逆転劇を呼び込んだ中野拓夢内野手(29)の好走塁に着目。「勝敗の分かれ目となった」と高評価した。【聞き手=佐井陽介】
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阪神が逆転に成功した6回表、個人的には2番中野の好走塁が勝敗の分かれ目となったように感じます。1点リードの状態で先頭の1番近本が中前打を放ち、二盗に成功。無死二塁となると、中野は三塁線に自分も生きようかというバントを転がしました。これがフェアゾーンいっぱいに残って安打となり、無死一、三塁。ここからの“足攻め”が非常に効果的でした。3番森下への5球目に二盗。無死二、三塁に好機を拡大すると、今度は森下の遊ゴロの間に三塁へ進塁。この走塁が4番佐藤輝の勝ち越し打を呼び込みました。
無死二、三塁となった時、ソフトバンク二遊間は二塁手が前進、遊撃手は定位置の守備体形を敷きました。遊ゴロで同点はやむなしという状況で、森下は詰まらされて遊撃右へハーフライナー気味のゴロを転がしました。ここで二塁走者の中野は三塁走者の近本がスタートを切った動きをしっかり確認した上で、迷いなく三塁へ走り出しました。これは決して簡単な走塁ではありません。少しでも判断が遅れたら三塁に投げられてタッチアウトになる可能性もあった中、当然のように「なおも1死三塁」の場面を作り出しました。外野フライでも勝ち越しの状況にしたことで、佐藤輝は気持ちの面で相当に楽になったはずです。
先発投手の村上もよく持ちこたえました。立ち上がりは普段よりボールが1、2個分ぐらい上ずっていたのに、尻上がりの粘投で最少失点で7回まで投げきったのはさすがです。打線は走塁も含めて隙のない攻撃で、少ないチャンスを生かしました。救援陣も及川、石井で無失点リレー。タイガースらしい試合運びで初戦を取れて、しかも日本シリーズで1度も勝てていなかった福岡で初戦を取れたのは本当に大きい。第2戦の相手は上沢ですが、余裕を持って戦えるのではないでしょうか。(日刊スポーツ評論家)




