ロッテ大谷智久投手(32)には、遠征先で夜寝る前に必ずやることがある。私服をたたみ、身の回りの物を片付ける。翌日に使う野球道具も準備する。全てきっちりやってから、眠りにつく。「もし打たれた時、『あれをしなかったから打たれたんだ』って思ってしまうので」。理由に、実直な中継ぎ右腕の人柄がにじみ出ていた。

 その大谷が、先日、節目に達した。21日の西武25回戦(メットライフドーム)の8回に登板。3者凡退に抑え、通算100ホールドを記録した。球団では、薮田、益田に続く3人目。プロ8年目で到達したが、「失敗した試合の方が記憶に残っているし、つらいことの方が多かったですが、野球選手である以上、通過点として上を目指していきたい」と、これまた実直な人柄がにじみ出るコメントを残した。

 翌日に試合がある時は、お酒を飲まないという。常に登板する可能性がある中継ぎだからかと思ったら、少し違った。「飲んでしまうと、次の日の準備をしないで寝てしまう」からだった。打たれてパッと飲みたくなった日もあっただろう。それでも、グッとこらえ、服をたたんで翌日に備えてきた。小さなことの積み重ねが実った100ホールドだった。

 余談を-。大谷から、そんな話を聞いた日の夜、私は札幌のすし屋で酒をくらった。ホテルに戻り、当然のように寝落ち。気がついた時は、午前4時だった。【ロッテ担当 古川真弥】