福は~内、鬼は~外!神頼みでもしたくなる。ふと、ノートを開くと「楽天の福男」とのメモを見つけた。

楽天小郷裕哉外野手(23)は、50メートル5秒8の俊足が売りの2年目。今オフ、同じ右投げ左打ちの広島松山に弟子入りし、鹿児島・大崎町で自主トレを行った。

人生が変わった? のは1月13日。松山に背中を押され、4年目を迎える「おおさき福男福女選び」に参加した。受付は夜明け前の朝6時。スタート順のくじを引くと、先頭の「1番くじ」が当たった。「ラッキーだなと思いました」。7時に女性陣がスタート。ほどなくして、87人の男性陣が駆けだした。

国道220号線旧道から都萬(つま)神社を目がける。365メートルの道のりは「とにかくきつかったっす」と、ほぼ上り坂だ。爽やかな早朝の空気を切り裂きながら、男たちが走る、走る。最後の50メートルはいっそうの急勾配にカーブも重なる。最終コーナー出口。先頭を並ぶまもなく抜き去る。スタートから55秒。右腕を上げながら力強くゴールゲートへ飛び込んだ。「四代目壱番福」と記された紫の法被を羽織り、月桂(げっけい)樹の冠を頭に乗せながら、地元の米10キロ、焼酎などを受け取った。

オープン戦では全14試合に出場。直近でチーム最後の実戦となる、3月21日オリックスとの練習試合ではソロを放った。「当て逃げをやめて、しっかり打ってから走るように心がけてます」。後ろへのけぞるほどのフルスイングで逆方向へ運び、自主トレの成果を見せた。

外野陣には島内、辰己、田中、ブラッシュ、ロメロなどが控える。定位置どりは容易ではない。でも、今年が厄年ながらも一番福をつかんだ「ラッキーボーイ」なら…実力でレギュラーをつかみとる。【桑原幹久】