独特の雰囲気に、胸がざわついたそうだ。オリックス漆原大晟投手(24)が、今季最も緊張した試合を教えてくれた。

「京セラのホーム最終戦(11月6日の日本ハム戦)ですね。1点差のマウンドで(ドラフト1位の)宮城のプロ初勝利もかかっていて、山崎勝さんの引退試合で…。本当にしびれる場面で投げさせてもらった。これを1年間やるんだと思ったら、すごいなと…」

初セーブを挙げナインとハイタッチして喜ぶ漆原大晟(中央)(2020年8月23日撮影)
初セーブを挙げナインとハイタッチして喜ぶ漆原大晟(中央)(2020年8月23日撮影)

素直に胸中を語る24歳の右腕は、今春に支配下選手登録を勝ち取った。背番号は「127」から「65」に。プロ初登板となった8月23日の西武戦(京セラドーム大阪)も、緊迫のマウンドだったはずだ。「自分は飛び込んでいく感覚だったので。1つずつと自分を落ち着かせて。1ストライク、1アウトを積み重ねていくスタイルはできたと思います」。出番は3点リードの9回だった。2点を失うも、リードを守ってプロ初セーブを記録した。育成ドラフトで入団した選手が支配下選手となって、プロ初登板でセーブを挙げるのは史上初めて。球史に名前を刻んだ瞬間だった。

「(救援は)実力も精神面も強い人がやるポジションだと思った。やっぱり、緊迫した場面で抑えるとうれしい。そこが中継ぎの魅力。自分も食い込めるように、頑張るだけです」

今季は22試合に登板して0勝0敗2セーブ、防御率は3・42。接戦も任され、5ホールドをマーク。21年はさらなる飛躍を遂げ「育成&勝利」の象徴となる。【オリックス担当 真柴健】

力投するオリックス漆原大晟
力投するオリックス漆原大晟