阪神ドラフト4位の前川右京外野手(18=智弁学園)がキャンプで成長を見せた。

将来の大砲候補はキャンプ前から気持ちが強かった。鳴尾浜でのキャンプ前取材の時、キャンプ期間のリフレッシュグッズを持ち込まないことを明かしてくれた。「2月は自分を追い込んでやっていきたいので」とプロの世界で勝負する覚悟がひしひしと伝わった。

キャンプでは、バットを振れる時間があれば、とことん振り抜いた。キャンプ序盤に取材した時、手はマメだらけで振り込みをしてきた証しを目の当たりにした。その成果は第5クールで表れた。プロ初実戦となった四国IL・高知戦。4回に左中間フェンス直撃の二塁打を放ち、甲子園の浜風にも負けない打球でアピール。与えたチャンスを無駄にしない勝負強さが光った。

持ち味は打撃面だが、走塁や守備にも注力していた。グラウンドのファウルゾーンで工藤隆人2軍外野守備走塁コーチとのマンツーマンレッスン。課題とする背走で打球を捕球する動作を入念にチェックし、捕球体勢がスムーズになった。「マンツーマンで教えていただいてとてもありがたくて、身になることばかりなので、もっとうまくなりたい」。真剣にコーチの話を聞きながらも、楽しんで野球をしている姿が印象的だった。

沖縄・宜野座の1軍キャンプの打ち上げで矢野監督から「ファームで頑張っている選手もこっちに呼びながら。前川も見たいし」と名前を挙げていた。2軍は新型コロナウイルス陽性者が相次ぎ、キャンプ最終日も練習が中止となった。それでも、前川はキャンプで力をつけた成果をこれから見せてくれるはずだ。【阪神担当 三宅ひとみ】