指揮官らしい率直な言い方だった。阪神のオープン戦最終戦となった24日のオリックス戦(京セラドーム大阪)の試合後。オープン戦の収穫について聞かれると、少し苦笑いしながら答えた。「まあ収穫は、あんまりなかったなあ。最後にテストしたのが、なあ。オープン戦そのままの結果やったからのう。ピッチャーにしても。最後にちょっとケガ人出たしなあ」。過大評価せず、過小評価もしない。ただ現状と向き合って最善の策を探す。岡田監督の言葉の端々にそんなことを感じている。

この日の試合は6回までリードしながらも、7回途中から登板した島本浩也投手(31)が0回1/3を3安打1四球2失点。8回に登板した石井大智投手(26)も1回3安打1四球2失点と苦しんだ。「オープン戦ずうっと悪いなあ、島本、石井やなあ」。オープン戦を通じてなかなか状態の上がらぬ2人を冷静に分析。心配しすぎる様子もなかった。

オープン戦前半は雨天中止などもあり、投手の調整に思案することもあったが、先発投手陣のイニング確保を第一に、2軍戦も使いやりくり。当初開幕ローテーション入りが見込まれていた6人が、しっかり開幕に間に合った。最終戦でも不調が続くリリーフの島本、石井を優先的に投げさせ、状態を見極めた。目先の勝ち負けではなく、文字通りシーズンへの調整に無駄なく全試合を使った。

「全員調子良かっても全員使われへんからな、ブルペン陣はな。やっぱ半々くらいが逆にええかも分からんな。1試合使こうても3人4人やからな、勝ちゲームにしてもな、おーん。また波があるから、調子ええもんが悪なった時に上がってきてくれたらええと思うけどな」。当たり前のことと言われればそうだが、昨年日本一に導いた指揮官に言われると、どこか説得力がある。開幕後も率直な物言いと先を見据える力で、チームを連覇に導くはずだ。【阪神担当 磯綾乃】

3月24日、オリックス対阪神 6回裏を終えベンチで笑顔を見せる岡田監督(中央)
3月24日、オリックス対阪神 6回裏を終えベンチで笑顔を見せる岡田監督(中央)