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京大野球部の武器は「考える力」本気で狙う優勝

<京大野球部に刮目せよ(5)>

京大野球部の新チームで主将を任されているのが、北野嘉一内野手(3年=北野)だ。

昨秋打率4割5厘(42打数17安打)をマークし、82年の関西学生リーグ発足後、京大では8年ぶり3人目の首位打者を獲得。00年以来の勝ち点2と同リーグ初の4位躍進に大きく貢献した。「今までは勝ち点を取る戦いだったけど、1個上がった気がします。(春の)目標は優勝! 今までは漠然とした優勝…でしたが」と力強く言い切った。

19年10月、秋季リーグ戦で首位打者を獲得した京大・北野
19年10月、秋季リーグ戦で首位打者を獲得した京大・北野

新チームから全員でウエートトレーニングに取り組んでいる。これまでは自由だったため、まったくやらない部員もいた。1年生が使っていた長さ15メートルほどの地下室を30万円かけ、トレーニング室に改造。器具も設置した。1年生の荷物も部室に入れるため、部室はところ狭しだ。トレーニング班班長の山口誠人外野手(3年=天王寺)は「私学との差は筋力、肉体の差。全員でやろうかと」と全員分、個別に時間割を作成。少ない器具を全員で使えるように工夫している。

昨夏、青木孝守監督(65)と旧知で、近鉄やロッテ、メッツなどでトレーナーを務めた立花龍司氏(55)が講演に来た。それ以来、トレーニングの相談をいつでも受け入れてくれている。メニューは立花氏に学んだ独立リーグ四国IL徳島のトレーナーが作成したものを取り組んでいる。

この秋新しく出来たトレーニングルームを案内する京大の山口トレーニング班長
この秋新しく出来たトレーニングルームを案内する京大の山口トレーニング班長

野手が重視しているのは「腹斜筋」だ。青木監督は「打者の野球を科学すると、スイングスピード、打球スピードを上げるにはどの筋肉を鍛えればいいのか。腹斜筋を徹底的に鍛えることで、飛距離につながる。速いヘッドスピードを出せばいい」と研究を重ね、論文もあるという。

青木監督も「日本野球科学研究会」に参加し、学んできたことを選手たちに還元している。「投手は重いボールと軽いボールを使って練習し、神経を刺激している。長距離走は基本的にやらない。野球は30メートルしか走らない。科学的な裏付けをもってやっている」。

京大は創立時から「自由の学風」をうたっている。青木監督も「選手たちが自主性を持って、自分のビジョンを描いて練習するしかない」と話す。秋の新チームから週に1度ミーティングを開いてグループ討論を行い、チームが目指す方向を確認している。

女性として京大初の主務になった西室柚香子さん(3年=大教大池田)は「先輩後輩の壁はもともとそんなに厳しくないですが、さらに仲良くなっている。下級生からも意見を言いやすい雰囲気は前よりある」とチームが今、活気づいている姿を感じている。新エース候補の原健登投手(3年=彦根東)は「ほかの大学に比べて体も技術もないので、どんどん新しいことにチャレンジしていく必要がある。考える力は、一番の大きな武器なんじゃないかなと思います」と話す。

昨秋、リーグを制覇した関大の早瀬万豊(かずとよ)監督(61)は「(関学大と同大に各2連勝した)最後の4連勝は、たまたまではできない。投打のバランスが取れたいいチームになってきている。京大に足をすくわれたチームは優勝争いから脱落する」と警戒する。もう、最下位が定位置ではない。日々進化を続ける京大野球部に、注目だ。(この項おわり)【石橋隆雄】

◆北野嘉一(きたの・よしかつ)1999年(平11)1月16日生まれ、大阪府出身。庄栄小1年から茨木フレンズ(軟式)で野球を始める。三島中で中1の間は硬式の北大阪ドラゴンズ。途中で辞め、その後は自主練習。北野高2年夏、チームは5年ぶりに大阪大会の初戦を突破。京大では3年秋に首位打者に輝き、外野手でベストナインを獲得した。学部は農学部・食料環境経済学科。175センチ、72キロ。右投げ左打ち。

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