野球の国から

樹徳・茂木から母へ 仕事変えてまで…ありがとう

<特別な夏・高校野球編(3)>

苦しむ息子を支える母がいた。樹徳(群馬)の茂木豪汰内野手(3年)と母友子さん(46)は自宅のある沼田を離れ、同校の所在地、桐生市内のアパートで2人暮らしをしている。茂木は当初、1人で下宿生活をしていたが、慣れない環境に適応できずに苦しんだ。母は仕事を変えてまで、息子を支える決断をした。

笑顔を見せる樹徳・茂木豪汰(撮影・小早川宗一郎)
笑顔を見せる樹徳・茂木豪汰(撮影・小早川宗一郎)

茂木は3兄弟の末っ子。兄2人も同校野球部出身で、その背中を追い、甲子園の出場実績のある強豪に入学を決めた。兄2人と同じようにアパートで1人、覚悟を決めて下宿生活を始めた。しかし、まだ中学を卒業したばかりの高校1年生。新しい環境にストレスをためたのか、アトピーなどのアレルギーに苦しんだ。眠れない夜もあった。

1人での下宿生活を始めて1年と3カ月が過ぎた昨夏、友子さんは夫1人を残して沼田を離れ、桐生で息子と住む決断をした。「せっかく1人でこっちまで来て野球を頑張っているのに、アトピーやアレルギーのせいで断念するのはかわいそうだなと思った」。沼田で勤めていた介護の仕事を辞め、桐生で同じ介護の職に就いた。

仕事をしながら食事、洗濯など家事をこなした。全く知らない場所での生活は、友子さんにとっても簡単ではなかった。外出先も近くのスーパーくらいしか知らなかった。それでも、息子を支えられることがうれしかった。「他のお母さんたちが『今日帰るの遅かったんだよ』とか『もうユニホームが泥だらけで洗うのが大変だったんだよ』と言っているのを聞くと、兄たちにはそういうことをしてあげられなかった…」と後悔した。遠くで1人、苦しむ息子の力になりたかった。今は「逆に息子を支えるきっかけをもらえて感謝です」と話す。

応援に訪れた樹徳・茂木豪汰の母友子さん(撮影・小早川宗一郎)
応援に訪れた樹徳・茂木豪汰の母友子さん(撮影・小早川宗一郎)

茂木は昨秋、ベンチに入れず、悔しい思いをした。野球だけでなく体調不良との闘いもあり、苦しい時期を過ごした。今夏は背番号15でベンチ入りし、1回戦では代走で出場。公式戦初出場を果たした。2人暮らしについて茂木は「(母が来てくれて)助かった。1人だと食事とかきつかった」と笑顔を見せた。親へのメッセージを求められると少し照れくさそうに感謝した。「母ちゃんありがとう」。

夏の大会が終われば、2人は沼田の家に戻る。母子で過ごした忘れられない1年になった。【小早川宗一郎】

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