<みやざきフェニックス・リーグ:阪神3-1楽天>◇17日◇サンマリンスタジアム宮崎

日刊スポーツ評論家・田村藤夫氏(61)が、母校・関東第一の後輩に愛情を込めた辛口エールを送った。楽天の15年ドラフト1位、プロ5年目のオコエ瑠偉外野手(23=関東第一)の腰が引けたバッティングを見逃さなかった。

野球界のかわいい後輩だ。バッティングを見て正直に「エッ」と思った。状況説明よりも先に、まずオコエに言ってやりたい。「ストライクをよけて、腰が引けてるようじゃ打てない」。この言葉に尽きる。

4打数1安打だった。第2打席は、フルカウントから阪神18年ドラフト4位、プロ2年目右腕の斎藤友貴哉(山形中央-桐蔭横浜大-ホンダ)のやや抜けて真ん中に入ってきたスライダーを、スッとよけるような動きで見逃し三振。

第3打席はカウント2-2から外のスライダーを空振り三振するが、1-0からのインコースから入ってくるスライダーを再び腰が引けた感じで見送る。これはチャンスボール。よけていては話にならない。

第2打席も、第3打席もそれぞれスライダーを投げた瞬間、ぴくっと体が反応していた。ボールを最後まで見ていない。これではボールの見極めができない。ボールの見切りを早くせず、最後までボールに集中しないと。

本人も分かっているだろうが、ここはあえて指摘しておく。インコースのボールに対して怖さがあると絶対に打てない。私は現役の時、インコースを使ってバッターに恐怖心を植えつけ、何とか打ち取ろうと必死だった。それが清原だろうが、外国人選手だろうが。打者のインコースを厳しく攻めて上体を起こすことで外角への変化球が生きてくる。高校球児でも分かることだ。

ましてや、そこまで厳しいインコースのボールではなかった。それをよけていては、自分で打てるチャンスをふいにしている。もしかすると、過去に死球があって、恐怖心がぬぐえないのかもしれない。そうだとしても、それは克服しないといけない。そうしないと、プロで活躍するのは夢のまた夢だ。

第4打席はカウント1-1から、18年ドラフト5位でプロ2年目左腕の川原陸(20=創成館)の外寄りストレートを右越え二塁打。外のボールへのスイングは非常に力強かった。それだけに、外のボールに意識はあるが、インコースは意識が薄いか、苦手なのか、という印象が残った。

この日の打席では右の脇を空け、バットをゆらしながらタイミングを取っていた。いろいろ試しているんだろうなと感じる。スイングは悪くない。甲子園で一躍注目され、ドラフト1位で入ってもう5年だ。1軍での実績はまだない。期待するだけに、弱気な姿に、ついつい言葉が熱くなってしまった。ただ、今のままでは、腰が引けてるようじゃ打てないぞ。この言葉をよくかみしめてほしい。

私のみやざきフェニックス・リーグ最終日は、18日のヤクルト-阪神(アイビー)からのリポート予定。(日刊スポーツ評論家)