野球手帳

「福男」部長が無念の転任、夏の大会開催心から願う

藤井寺工科(大阪)の「福男」部長が転任した。今年1月、兵庫・西宮神社の本殿参拝一番乗りを競う「開門神事福男選び」で令和初の「一番福」になった黒木(くろぎ)悠輔教諭(33)が4年間、部長として野球部を指導してきた藤井寺工科から転任、4月から泉陽(大阪)での勤務となった。

本殿に先頭で駆け込んできた「一番福」黒木悠輔さん(2020年1月10日撮影)
本殿に先頭で駆け込んできた「一番福」黒木悠輔さん(2020年1月10日撮影)

藤井寺工科の部員はわずか10人。公式戦は16年秋から10連敗中だが、公式戦での勝利を目指し、誰ひとりサボることなく白球を追い続けてきた。部存続、新入部員募集のためにと、黒木教諭は13度目の挑戦で一番福に輝き、世間に強烈なインパクトを与え、知名度もアップ。この春の新入生募集を楽しみにしていた。

だが、新型コロナウイルス感染拡大のため、3月初めに休校となり部活も活動停止。「こればかりはどうしようもないですから。コロナがうらめしいですよ」と、最後に一緒に練習することもできなかった。登校日にわずかな時間だけ集まり、別れを告げた。外部指導者の監督が試合の時は来るため部長だが、黒木教諭が実質チームをひとりで預かっていた。

もうすでに1カ月ほど練習はできていない。休校が5月上旬まで延長され、さらに1カ月練習は難しい状況だ。部員10人全員が守ってノックを行うなどチームワークは抜群。黒木教諭は、少ない人数で自分たちでやれる練習方法を伝授していた。これまでも休みの日に河川敷に集まって自主練習をするほど、野球が好きな選手たちだけに、個人での練習は続けていると信じている。「心配していない。夏もそこそこ勝てると思います。夏がないと彼らは終わってしまう。6月には活動を再開してほしい。やはり1カ月は(全体で)練習しないと」。春の大阪大会が中止となり、3年生7人にとっては最後、3人の2年生にとっても新入部員が6人以上集まらなければ単独チームでは秋以降の出場も厳しくなる。コロナウイルスの終息、夏の大会の開催を「令和初の福男」は転任先で心から願っていた。【アマチュア野球担当=石橋隆雄】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

◆西宮神社「開門神事福男選び」 商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社、西宮神社で十日えびす大祭が終了し、参拝者の本殿一番乗りを競う。江戸時代ごろから、独特の伝統行事として続けられている。黒木教諭は先着1500人が引けるくじで「13度目で初めて当たった」と3列目中央の「31」をゲット。50メートル6秒0の快足でゴールまでの約230メートルを走り抜けた。1着から3着までがその年の福男として認定される。女性も参加でき、先着5000人には「開門神事参拝之証」が配布される。

◆黒木悠輔(くろぎ・ゆうすけ)1986年(昭61)7月1日、大阪・枚方市生まれ。小学生では軟式、中学では準硬式でプレー。東海大仰星では3年夏に控えの遊撃手兼一塁コーチとしてベンチ入り。三重大では準硬式。野球は大学で引退し大阪教育大大学院へ進学した。支援学校に5年勤務し、16年春から保健体育教師として藤井寺工科に着任。173センチ、68キロ。右投げ左打ちだが、ノックは右打ち。

1月25日、ノックをする藤井寺工科の黒木悠輔顧問
1月25日、ノックをする藤井寺工科の黒木悠輔顧問

 野球をこよなく愛する日刊スポーツの記者が、その醍醐味、勝負の厳しさ、時には心が和むようなエピソードなど、さまざまな話題を届けます。

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