球春が来ないまま初夏になってしまった。プロ野球は開幕延期のままで、アマ球界も大会中止や延期、再延期のニュースばかり。新型コロナウイルスに誰もが苦しむ中、少しでも前向きなことはないかと探していると、関大の早瀬万豊監督(61)が教えてくれた。「毎年、何人かインフルエンザの感染者が出るけれど、今年は出なかった。風邪をひく部員も圧倒的に減った。手洗い、うがいがいかに大事だったか。今後も続けていきたいですね」と、ちょっと驚いたように話した。

昨秋の明治神宮大会で準優勝だった関大野球部の部員は200人を超える。昨年までは冬場や春先にインフルエンザに感染する部員が出てチームは泣かされていた。今年は新型コロナ予防対策で手洗い、うがいを徹底させた。するとコロナだけでなく、インフルエンザの感染者もここまで出していない。手洗い、うがいはコロナ後も、新たな部の伝統となりそうだ。

所属する関西学生リーグは6月6日から1試合総当たり制で春季リーグ開幕を目指しているが、ライバルの近大が5月31日まで、関大を含む残り5チームは無期限で活動休止と厳しい状況が続く。

関大は4月3日から各自が個人練習を続ける。早瀬監督は「学年ごとにまとめて報告は入ります。でも、それぞれ環境も違うし個人差も出る。そろそろストレスもたまるころでしょう」と心配する。球音が響くまで、もう少し我慢の時期は続きそうだが、関大だけでなく全体的に衛生面への意識、関心が高くなったことはプラスだと思いたい。【石橋隆雄】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)