高校野球の青森独自大会で8強入りした弘前東には、縁の下の力持ちとして奮闘する2人の控えメンバーがいる。古川礼於、小寺輝幸(ともに3年)の両投手は、選手としてプレーする一方で、1年秋から打撃投手も務めてきた。今夏はベンチ入り20人の当落線上で惜しくもメンバー外となったが、陰の8強進出立役者として欠かせない存在だ。

背番号はなくても、チームの一員だ。古川と小寺は「最後の大会はメンバーに入りたかった。でも、その気持ちを割り切って、打撃投手でチームに貢献したい。監督さんを優勝させたいです」と口をそろえる。これまでの2人で投げ込んだ球数は20万球を超す。肩と肘のケアはもちろん、トレーニングもしっかり行い、故障には最大限注意してきた。登板間隔も調整しながら、チームのために積み重ねた勲章だ。打撃練習後には、葛西徳一監督(34)からのペットボトル飲料が、至福の1本となっている。

チームは初戦から2試合連続でコールド勝ちするなど、計3試合で38安打37得点と打線が絶好調。蛯名温人主将(3年)は「古川と小寺の球には1球1球に思いが伝わってくる。控えメンバーの思いも背負って戦わないといけない」と気持ちを引き締める。古川と小寺は「勝ち進むにつれて、相手投手のレベルも上がる。今まで以上にしっかり投げないと」。悲願の県初優勝まであと3勝。チーム一丸で突き進む。【佐藤究】