「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」。若い人はあまり知らないが中高年は誰でもうなずく短歌だろう。歌人・俵万智の歌集「サラダ記念日」(87年初版発行)に収録されたこの短歌が有名になり、広まった。
ここ数日、阪神の“記念日”も続いていたのである。今月8日は「最速M記念日」だ。闘将・星野仙一の下で戦った03年7月8日に指揮官の地元・倉敷で優勝マジック「49」が点灯。当時のリーグ最速だった。
反対に同9日は「大失速記念日」か。オーナー付顧問・岡田彰布の第1次政権ラストイヤーだった08年7月9日。この時点で貯金が今季より多い「28」。3位だった巨人に、このシーズン最大の13ゲーム差をつけていた。しかし、その日がピーク。そこからゲーム差が次第に縮まっていき、最終的に巨人にまくられる屈辱のシーズンとなった。先日の日刊スポーツの記事でよみがえらされた苦い思い出である。
そして、この日だ。11連勝を受け、登板したエース村上頌樹が大乱調。2回に7連打を浴び、1イニング6失点を喫する。村上はストライクゾーンで勝負するタイプで、まれに1イニングで多く失点することがある。それが出た格好か。
その裏、阪神の攻撃が始まる直前に降雨で試合は中断。甲子園に詰めかけたファンは雨の中、応援しながら再開を待った。しかしテレビで見たり、スマホなどで進行具合をチェックしていた虎党なら、ひょっとして、こう思っていたのではないか。降雨ノーゲームになれ、と。そうなれば連勝は続くからだ。
だが承知の通り、50分間の中断を経て、試合は再開された。そして、やはり村上が先発した6月27日のヤクルト戦(神宮)以来の敗戦となったのだ。村上はその試合、7回3失点で同点とされて降板したが、ブルペン陣が逆転されている。念のため。
エースの乱調、長時間の降雨中断と印象深い試合となった。この世界では連勝の後、その反動が来るというのはよく言われることだ。11連勝の反動がここから始まるのか。それとも。
3点をかえした打線は活発だし、大量失点の後を受けた投手たちも好投。「おのおのがやるべきことをやっていたと思いますね」。指揮官・藤川球児もそう話した。「7・11」が何か不吉な記念日にならなければいいな…と思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




