高校野球特集の第3回は、日刊スポーツ記者が全国の話題の選手にスポットを当てる。春日部共栄(埼玉)の4番打者、山本大貴一塁手(3年)は2年3学期に12科目でオール10を取った秀才だ。志望校を東大に決め、連日5時間の練習後、深夜2時まで机に向かう。4番を打つ主砲が、まずは3年ぶりの甲子園へチームを引っ張る。

 5月下旬、山本は本多利治監督(59)に希望進路調査書を提出した。シートには第5希望まで記入する欄があったが迷いはなかった。1番上に「東京大学」と記し、以下は空欄にした。

 山本 それまで東大は雲の上の存在だと決めつけていたんです。でも4月に東大の浜田監督が練習を見に来てくださったりして『東大』という気持ちが芽生えました。東大以外、受けません。

 本多監督は「うれしかった。今年で監督生活38年目。教え子は1200人いますがまだ東大野球部に入った子はいません。彼なら合格するんじゃないか。そんな子です」と決断を喜んだ。

 春日部共栄は甲子園に春夏7回出場し93年夏には準優勝。プロ球界にも多くの選手を送っている。今夏もBシードで優勝候補の一角だ。近年は東大合格者を出すなど進学校としても実績を残している。そんな名門校に「勉強が超できる」4番打者がいた。2年3学期に野球部史上初の「オール10」を取った。国語(2科目)、数学、理科、地理、歴史、英語(2科目)、情報、音楽、体育、家庭の12科目で10。学年600人の首席となり表彰を受けた。