平塚江南のエース富田歩投手(3年)が、試合には敗れたものの、打撃と走塁でも非凡なプレーを披露した。

 7回コールド勝ちを収めた前日24日の平塚工科戦で7回完投しており、この日は5番一塁スタメンでの出場。まずは5回先頭、チーム2本目の安打となる左越え二塁打を放つ。次打者のゴロを、相手二塁手がグラブから弾き、後ろに転がるや、三塁を蹴って本塁へ突入。ヘッドスライディングで鮮やかに生還した。富田は「三塁コーチャーが腕を回していたので、僕は走っただけです。コーチャーの判断に助けられました」と謙遜した。

 富田は中学時代、軟式野球の湘南アサヒベースボールを全国優勝に導いた右腕。「高校では野球だけではなく、勉強も頑張りたいと思って、家からそれほど遠くない、勉強と野球を両立できる」と、平塚江南を選んだと話す。1年秋からエースナンバー「1」を背負い、最終学年を迎える。「140キロくらい」と話す直球を最大の武器に、チェンジアップ、カーブ、スライダーのコンビネーションで、打者に的を絞らせない投球術が持ち味だ。「私学には練習量では劣るかも知れない。その分、頭を使って、効率よく練習して、私学に勝てるチームになりたい」。高校野球最後の1年に懸ける思いは強い。

 本年度限りで定年を迎える前監督の賀澤進教諭(60)は「富田は今日の走塁にしても、いい加速をするんです。投球ではもう一皮むけてほしいですね。夏の大会でも、私学を2つくらい破って、脚光を浴びて欲しいですね」と、最後の教え子の飛躍を期待した。