<高校野球奈良大会:一条12-2平城>◇22日◇3回戦◇佐藤薬品スタジアム

 人生初のホームランが、記録的なホームランになった。8-2で迎えた5回1死満塁、一条の北畠康太内野手(2年)の打球は左翼スタンドへ。「最初はフライかなと思っていたんですけど、うれしかったです」。一振りで5回コールド勝ちを決めた。

 実は「小学生の時にランニングホームランはあったんですが…」と小中高通じて、スタンドインは人生初めて。そしてこの「1本目」が夏の奈良大会の記録である1大会通算30本塁打を塗り替える、今大会「31本目」になった。北畠は「一生思い出に残るかなと思います」とはにかんだ。

 チームは秋の県大会初戦で2-11、春の初戦で1-6と打てずに敗れた。春の敗戦後は1日多い時で約3000本の振り込み。そして細井俊佑監督(28)の「自分でバットを振ってほしい」との考えから、平日の練習時間は1時間減り、休日は半日練習になった。その分を選手たちは自主練習に費やし、北畠も「自分たちで課題を考えて、できないことから目をそむけずに来ました」とマシン打撃やティー打撃に注力してきた。効果を実感したのは? と聞かれ「まさに今日かもしれないですね」と笑顔。記憶と記録に残る1本になった。【磯綾乃】