日本高野連は14日、来春センバツの21世紀枠候補9校を発表し、東海地区から創部5年の清水桜が丘が初選出された。県勢が同候補に選出されたのは、2005年の静清工(現静清)以来13年ぶり3校目。公立校では初となった。強豪サッカー部とのグラウンド共有などで、不十分な練習環境を克服しての東海大会出場が高く評価された。出場32校は来年1月25日発表で、21世紀枠は3校選ばれる。

清水桜が丘が甲子園に大きく近づいた。この日午後、選手たちは渡辺紀之校長(55)から21世紀枠候補に選ばれたことを伝えられた。小川允羅(ちから=2年)主将は「ここまで来たんだな」と言うと、エースの敦賀渉(2年)は「素直にうれしいです」と白い歯を見せた。

「サッカーのキヨショー」が庵原と再編して5年。選考理由にもサッカー部が大きく関与した。グラウンドを共用するため、午後6時まで外野全面はサッカー部が使用する。同8時からは地域団体に貸し出すため練習には制限がある。特に15年春のグラウンド完成まで2年間は、球場や他校のグラウンドを借りながら練習した。曲田雄三監督(35)は、当時を振り返りながら「その時に苦労した人たちが報われるためにも、本番で選ばれたいですね」と話した。

困難な環境克服に加え、曲田監督を中心に取り組む、文科省推進のアクティブラーニング(AL)への取り組みも選考理由に挙げられた。ALは主体的に自ら考えて学び、他者とのコミュニケーションを通じて協力して課題を克服していく。野球部にも浸透して「全員野球」が代名詞になった。敦賀は「練習でも、試合でも自分たちで考えて協力し合っています。選手だけのミーティングもよくやり、そこでプレーの1つ1つの課題をみんなで話し合います」。

01年に21世紀枠が導入されて以来、県勢の同枠出場はない。小川は「候補に選ばれてからが勝負。ここで満足しないで、甲子園で勝てる練習を続けていきたいです」と話した、曲田監督も「子供たちもこれは通過点だと思っている。自分としては、彼らを甲子園で戦えるレベルに持っていってあげたい」と気を引き締めた。【河合萌彦】

◆静岡市立清水桜が丘高校 2013年(平25)に静岡市立清水商と県立庵原が再編整備して創立。普通科と商業科で生徒数838人。昨年度は45人が国公立大に現役合格した。60人以上のJリーガーを輩出した清水商サッカー部は全国選手権に12回出場して3度優勝。再編後は昨年初出場した。清水商野球部は春2度(63、68年)、夏1度(86年)、甲子園に出場。今夏の静岡大会は2回戦敗退。主なOBは、広島、阪急で活躍して7球団でコーチを務めた大石清氏、大洋、日本ハムの杉山知隆氏、ロッテなど4球団に在籍した加藤康介氏がいる。学校所在地は静岡市清水区桜が丘。

◆アクティブラーニング(AL) 文科省が推進する教育改革の目玉。「主体的に学び、必要な情報を判断して個性を伸ばす」「対話や議論を通じて、多様な人々と協働する」などの姿勢を求めるもの。高野連の資料によると、商業科教諭の曲田監督は研究チームのリーダーで、静岡大、J1清水、県観光課とも連携して教育に導入。野球部員には自分の課題を明確にして、チームで共有し、全体で解決策を求めることで、選手同士で意見交換ができるチームに育ったことが記された。