第102回全国高校野球選手権大会(甲子園)中止にともなう各県独自大会「2020秋田県高校野球大会」(こまちスタジアムほか)が9日に開幕する。

昨秋の県大会を制した能代松陽は、投打の柱が再び頂点へ導く。プロ注目の森岡大翔外野手(3年)は豪快なスイングが武器。エース左腕・大高勇心(2年)も130キロ台後半の切れ味鋭い直球と変化球で打者を打ち取る。初戦の2回戦は宿敵・能代との「能代ダービー」。初戦屈指の好カードとなった。昨秋2位のノースアジア大明桜は金足農、昨夏王者の秋田中央は男鹿工と対戦する。

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主軸を担う森岡が、183センチの大きな体で広角に打球を飛ばした。左打席からのダイナミックな強振はソフトバンク柳田が理想像。「身長が高くて、センターで。フルスイングしても、しっかり球を捉えられる憧れの存在です」。1日3食の白米の量を増やすだけでなく、間食も摂取して空腹期間をなくす努力を重ね、体重も74キロから81キロへ。「去年はパワーが足りなくてレフト方向に長打が打てなかったけれど、飛ばす力は付いてきた」。練習試合などを含めて手応えを得ている。

昨秋は県大会で優勝したが、1つの悔しい打席を糧に気持ちを奮い立たせてきた。由利との準決勝の好機に、カーブ3球で三振。「3番を打たせてもらっているので、チームが打ってほしい場面で結果を出さなくてはいけない。負けたくない気持ちは強くなったし、どんな形でも借りを返す」。今冬、そしてコロナ禍で休校中も自宅近くの田畑のあぜ道や山道を約5キロ走ることを日課。大好きなロックバンド「ジ・オーラル・シガレッツ」の曲を聞いてリラックスしながら、心と体の強さを培ってきた。

秋田県の代替大会「能代ダービー」から、存在感を示す。昨夏、大曲工に敗れて2回戦敗退の雪辱も期すだけに「春も中止だったので、他校は松陽を倒そうと必死に向かってくれる。受けて立ってはいけないが、勝つ自信はある」。甲子園出場の夢は消えたが、森岡のバットが県王者を死守する。【鎌田直秀】

◆森岡大翔(もりおか・やまと)2003年(平15)1月19日生まれ、秋田・北秋田市出身。合川東小3年に合川東野球スポーツ少年団で野球を始め、合川中では軟式野球部。能代松陽では1年春からベンチ入り。184センチ、81キロ。左投げ左打ち。50メートル6秒4。家族は両親と弟。血液型O。