金足農は1安打完封負けに終わったが、最速145キロのエース右腕・加藤響(3年)の3失点完投は光った。昨夏、秋ともに準優勝の明桜に対し、3回までは三塁を踏ませぬ投球。4回に3連打を浴びて2失点したが、カーブなどの変化球を交えた緩急で苦しめた。

2学年上の吉田輝星投手(19=現日本ハム)から「お前はオレの1年時よりもすごい」と期待されていた逸材。だが、1年冬の恥骨疲労骨折により約1年間はリハビリ生活が続いた。今春にようやく完全復活。公式戦初先発が高校最後の登板となったが「2年前の決勝で吉田さんたちが勝った相手だったので、決勝戦のつもりで投げた。金足農の1番を背負っているプライドを持って投げ切れたと思います」。相手の輿石重弘監督(57)を「背番号1が吉田くんとかぶって見えた」と苦笑いさせたほどの好内容だった。

コロナ自粛期間には、18年カナノウ旋風時の佐々木大夢主将(現日体大2年)ら当時のメンバーが数多く駆けつけてくれた激励を力に変えた。「今後は大学などにいってプロを目指し、吉田さんを超えられるような存在になりたい」。ケガを乗り越えて心身ともに強くなり、次の目標も明確となった。【鎌田直秀】