日本一チームを受け継いだソフトバンク工藤公康監督(51)が本拠地での開幕2戦目で、初勝利。序盤に2併殺打と攻めあぐね、失策絡みでリードを許した。苦境を打開したのは主将で4番に指名した内川聖一外野手(32)だ。前日の開幕戦で2併殺の主砲が、逆転打を含む3安打3打点で指揮官にウイニングボールを届けた。

 汗ばんだ手で、白球を握りしめた。マウンドで得た224の勝利とは、違う感覚があった。開幕2戦目の初勝利。工藤監督はかみしめるように「手に汗が止まらなかった。勝った瞬間は最高の喜び。みんなに勝たせてもらった。感謝ですね」と言った。満面の笑みで、選手全員とハイタッチを交わした。

 開幕戦同様に重苦しい展開だった。初回に併殺打でチャンスをつぶした柳田が2回に失策し、2点目を失う。打開したのは、指揮官が主将で4番に指名した内川だった。先頭の2回。左翼線への当たりで二塁にヘッドスライディングした。「受けている感じを払拭(ふっしょく)しないといけない。流れが変わってくれたらいい」。気持ちのこもったプレーが、ナインの闘志に火をつけた。3回には2死満塁で逆転の2点適時打が右前に弾んだ。

 内川は前夜、チャンスで2度、併殺打を放った。4番の重圧に早くも襲われた。「4番の難しさ、大変だなと感じた。悔しい思いを忘れることはない。味わった上で、どうするのか」。この日放った2本の適時打はいずれも右方向の打球だ。自分のスタイルで、重圧に立ち向かった。実はこの姿こそ、指揮官が4番を託した理由だった。

 工藤監督 任せるには、心が強く、自分のスタイルを変えない人がいい。内川がいい、と自分の中で判断した。打てる時、打てない時がある。気持ちをもって、やってくれるのが一番だ。あのヘッドスライディングがみんなの気持ちをひとつにしてくれた。

 キャンプ中に選手とコミュニケーションを取り、性格やプレーの特長を把握することを心がけた。大きな決断となった4番内川が初勝利を届けてくれた。

 オープン戦の初勝利、同戦の本拠地初勝利に続く、3つ目のウイニングボールだ。大事そうに福岡市の自宅に持って帰った。「おれのボールはもう増えなくてもいいよ。みんなのボールが増えてくれたら」。新人監督の特別な1日は終わった。ナインの活躍を強く願った。【田口真一郎】