2番西岡塁に出て、2番西岡V適時打~。燃えよ何とかのフレーズに乗せて、サヨナラ地獄にサヨナラだ。またまた動かした打線は1番上本博紀内野手(28)、2番西岡剛内野手(30)の新オーダー。1回に4得点を奪えば、ロッテ時代の05年9月以来となる2番西岡は同点となった6回にも2死二塁から右前に勝ち越し適時打! 快勝で戻る甲子園。今日はバックスクリーン3連発の記念日だ!

 たった2人だけの空間だった。試合前だった。西岡は和田監督に呼ばれ、直接2番起用を告げられた。開幕3番から1番に移り、2度目の打順変更。中日に2夜連続でサヨナラ負けした危機的状況だった。「攻撃的な2番を監督は求めていたと思うしチーム状況も連敗が続いていた。僕はチームの方針に従う。そこで全力を尽くすだけ」。意気に感じて一大事に臨んだ。

 攻める。1回に4点を奪った勢いはいつの間にか消えていた。4回に追いつかれると一進一退…。重苦しい流れをバッサリ断ち切ったのは阪神で初めて2番に座った西岡だった。同点の6回2死二塁。山井の初球は浮いたフォークだ。無心で振り抜くと、ダイブする一塁福田の横をかすめて右前へ。待望の勝ち越し打を放ち、試合を動かした。

 西岡 大事にいきたい場面だけど、そういうときこそ攻めて攻めて。今日は2番で出させてもらって、いままでと違う形でチームに貢献したい気持ちです。

 背負うものが重いほど底力を発揮するのが西岡だ。2月キャンプ中だった。静まりかえった一室で不意に口を開く。「まあ、見とってくださいよ。こういう年、僕は大爆発しますよ」。一流の道を歩んできた自負心、二塁の定位置を剥奪された反骨心…。ロッテ時代の10年もそうだった。前年の09年は200安打を目標に掲げながら118安打、打率2割6分に終わった。屈辱を味わった。力量を疑う雑音も入った。その年は206安打。逆境でグッと耐え、踏ん張り、パワーに変える強さは実証済みだ。

 西岡 先の人生は他人が決めることじゃない。他人に決められてたまるかと思っているから、自分で決めます。どんな批判を受けようが、周りの人が何を言おうが、僕の人生は自分で決める。「お前もう終わりやろ」とか「西岡あかんな」という言葉に対して責任を取るのは自分ですから。

 昨季終了後、外野コンバート案が噴出した。長らく君臨した二塁には伸び盛りの上本もいる。それでも、あえて控え覚悟の二塁争いを志願した。退路を断ったのも自らの意思だった。

 窮地で動じない心こそ真骨頂だろう。05年以来、10年ぶりの2番だ。1回は1番上本に続く安打で4点奪取の猛攻に参戦。「いままでなら、あそこは送りバント。監督に求められているものを僕も理解して試合に出ています。攻撃的な2番になりたい。時に面白いこともしたい」。勝負師であり、策士でもある。一筋縄でいかない新2番が連敗脱出に導き、再浮上への機運を作る。【酒井俊作】

 ▼阪神西岡の2番での先発出場は阪神では初めて、ロッテ時代05年9月25日楽天戦(二塁手)以来となった。同年の西岡は104試合先発出場中、2番が33試合、1番が67試合あった。

 ▼阪神が今季最多の13安打をマーク。梅野が3安打し、西岡、鳥谷、マートン、福留が2安打。1試合チーム2桁安打は3月29日中日戦(京セラドーム、○10-8)の11安打、4月3日巨人戦(東京ドーム、○4-2)の11安打に続いて10試合ぶり3回目。1桁安打だった9試合は1勝8敗と苦しんだ。

 ▼阪神は今季最初のナゴヤドームで3連敗を免れた。同球場での中日戦勝利は14年7月16日以来。その後、同年最後の3連戦(9月5、6、7日)は0-6、2-7、0-2と3連敗。14年から15年へかけて同ドーム5連敗となっていたが、ようやくストップした。