阪神マット・マートン外野手(33)が、「シフト破り」の決勝打だ。8回の好機で中日セカンド亀沢が、二塁ベース寄りの守備位置をとったが、逆手にとるように一、二塁間へ勝ち越し打。ヒットマンの5番復帰とともに、チームは3連勝と乗ってきたで~。

 右方向へのゴロ。この時点でマートンの勝ちは、ほぼ決まりだった。同点に追いついた8回2死二、三塁。中日のセカンド亀沢が定位置を離れ、二塁ベースの右斜め後方約3メートルへと歩みを進めた。ガラリと空いた一、二塁間。二塁走者の生還を防ぎたい右翼平田は、じわりと前進してきた。ポテンヒットの可能性がしぼむ。バットコントロールが試されていた。

 一、二塁間をぶち抜いた。連続三振で勢いづく中日又吉に3球で追い込まれる窮地。だが、カウント1-2から1球ファウルを挟んでの5球目。外寄りのスライダーを逃さなかった。目いっぱい引きつけ、勝ち越しの適時右前打に仕立て上げた。勝利に直結する1点をもぎとった殊勲者は短い言葉で喜んだ。

 マートン 今日もいい勝利だと思う。マリオ(サンティアゴ)に勝ちがついて良かった。

 すごみは1打席での修正に詰まっている。マートンは直前の打席で同じ網にかかった。1点ビハインドの6回2死一、二塁。センターへ抜けようかというピッチャー返しの先に、セカンド亀沢がいた。無念の二ゴロで得点機を逃していた。

 10日広島戦でのスタメン落ち後、不振打開に向けて取り組んだのが「早い準備」だった。バットを上下に揺らしてとるタイミング。マートンは打ち始める際にそれをストップし、スイングへと入る。「動」「止」「動」。その「止」のタイミングを早めて、ボールが長く見えるようになった。ストップウオッチでは計れない世界での修正。この意識が殊勲打を呼んだ。和田監督も「包囲網というか、向こうもかなり研究している中で、最後は冷静になって反対方向にね。マートンらしいヒットだった」と絶賛だ。

 中日小熊の前に7回まで無得点。総攻撃時間は38分で、1イニングあたりわずか5分強と苦しみ続けた。それでも最後は勝った。阪神の復調はマートンなくして語れない。【松本航】