強きをくじき、仲間を救う。広島黒田博樹投手(40)がまたまた男気(おとこぎ)投球で「日本生命セ・パ交流戦」無傷の3連勝だ。交流戦首位のソフトバンクを8回無失点に封じ、チームトップの6勝目。2010年5月21日に勝利したのを最後に8連敗中だった福岡でのソフトバンク戦で白星。今季ワーストタイの借金8から巻き返す勢いをもたらした。
最後の力を振り絞った。8回2死満塁で内川をセンターフライに打ち取った。打球を丸がつかむと、黒田は右手の拳をグッと握った。日本復帰後最多の118球。最長8回を無失点の熱投だった。
「粘り強く投げれば、こういう展開になると自分の球を信じて投げた」
立ち上がりは自らのミスでピンチを招いた。1回1死から福田のゴロを一塁へワンバウンドの悪送球。そこから2死満塁とし、鬼門にいやな空気が充満したが、落ち着いて松田を遊ゴロに打ち取った。
「ボールが先行することが多く、そういう意味では考えすぎた部分もあった」。2回以降は冷静さを取り戻した。2回無死一塁から今宮のゴロが体の左側に飛んできたが、二塁手菊池の守備力を考え、とっさにグラブを引いた。打球は菊池から遊撃田中、一塁エルドレッドと渡り併殺が成立。4回と6回も併殺でピンチの芽をつんだ。「追い込んでからうまくインコースを使えた。石原がいいリードしてくれた」。
交流戦首位を走るソフトバンクは打率2割8分8厘、22本塁打、80得点がいずれも12球団トップ。4月18日から0封されていない。そんな強力打線を円熟の投球術で手玉に取った。「パ・リーグもいい打者がたくさんいる。そういう打者と対戦して、自分も成長できたらいい」。自身はまだまだ発展途上と、話す言葉に男気が香る。
黒田がいない広島は敵地のソフトバンク戦で10年に勝ったのが最後。福岡では8連敗中だった。前日11日は西武プリンスドームでサヨナラ負け。ワーストタイの借金8を抱えて、朝に東京から福岡入りした。チームの苦境でこそ、奮い立つ。強い相手をねじ伏せる。その姿こそ男気だ。
9回は中崎に託し、日本復帰後初完封は持ち越し。それでも右足首痛から復帰後、先発した4試合は全てチームは勝利。交流戦は3戦3勝。チームの窮地を救っている。緒方監督は「黒田に尽きる。しっかり気持ちを込めて向かっていって投げてくれた」と最敬礼。敵地でのヒーローインタビューで「チームがこのまま浮上できれば」と期待する背番号15に注がれた声援は、コイ党だけではなかった。【前原淳】



