日本ハム大谷翔平投手(21)が、今季3度目の完封勝利でシーズン自己最多12勝目を挙げた。ロッテ打線を6安打に抑え、12奪三振の快投。メジャー303勝左腕で、現ダイヤモンドバックスCEO補佐のランディ・ジョンソン氏(51)らが視察した中、最速159キロを軸に変化球も織り交ぜ、自身初の2試合連続完投。対ロッテは2試合連続完封で勝利数、防御率、勝率、奪三振の投手4冠の座を守った。

 魅力を1球で誇示した。日本ハム大谷のベストショットは4回2死。1-2からだった。デスパイネを棒立ちにさせた。この日最速タイ159キロ。スキのない外角低め速球で、見逃し三振に切った。「いい、真っすぐじゃないと抑えられないので」。バックネット裏での米球団のスピードガン表示は100マイル(約161キロ)。大挙駆けつけた本場の目利きたちが、次々に「ワンハンドレッド? OH! OH!」と驚嘆した。

 豊かな才能が、ビッグネームを引き寄せる。この日、来日中の「ビッグユニット」の愛称を持つジョンソン氏らダ軍首脳が集結。初めて直接、熱視線を送った。身長208センチの伝説の左腕が、バックネット裏席からチェック。ビールを飲みながらの高みの見物だったが、投球でも酔わせた。大谷は「ロッカーで話題になってました」と涼しく無関心も、周囲は騒々しい。試合前には、栗山監督を交え、日本ハムとダ軍の両球団がQVCマリンの一室にこもり数分間、懇談する一幕もあった。

 メジャー挑戦のメドは現時点で、不透明。ダ軍を含め、米球団が最大の関心を寄せるのが大谷の動向。デリケートな事案だけに、両者に微妙な空気が流れたという。栗山監督が、沈黙を破った。「(大谷)翔平を、見ていってくださいね」。もどかしそうにしていたジョンソン氏らに声を掛けると、うれしそうに笑ったという。同監督によれば「翔平を欲しいって、感じがしたよ」との雰囲気を、醸し出していたとのこと。メジャーで有効な高速フォークも交え12三振と、随所に魅了した。

 壁を乗り越えた。ソフトバンクと西武に連敗していた大谷は「きょうから開幕するくらいの気持ち」でマウンドに立った。QVCは2年ぶり。風速3~5メートルの見えない敵には「変化球もおかげで良かったし、真っすぐも高めで力があった」とうまく利用した。9回2死では155キロの速球で井口から三振を奪うなど、球威は最後まで落ちなかった。

 三度目の正直で自身最多12勝目を積み上げた。「リセットして臨みました。自分のやることだけやれば、抑えられる」。自分を信じて、突き進んできた。切り開いてきたスーパーエースへの道が、正しかったことを証明した。【高山通史】