ソフトバンク工藤公康監督(52)が目標に掲げてきた、チーム2年連続日本一へ、あと1勝に迫った。前日は継投に出た試合で8失点を喫したが、自慢の投手陣への信頼は揺るがない。4投手の継投で、日本一に王手をかけた。さあ今日29日、就任1年目で頂点へ駆け上がる。

 工藤監督が折れない心で2年連続の日本一に王手をかけた。前夜は継投が裏目に出たが、攻めの姿勢を失わない。6回裏無死満塁で、シリーズ初登板の森を投入。追い上げを受けたが、7回からは千賀を2イニング起用に打って出た。

 「リベンジを果たしてくれた。力が入っていたが、ボールの力で抑えてくれた。いくら口で自信があると言っても、立て直すのはマウンドの上しかないんだ」

 初黒星を喫した第3戦で、千賀は山田に3本目の本塁打を打たれていた。それでも若き右腕に対する期待は変わらない。「ジョーカー」の役割を任せるのは、好投した9月中旬から計算していた。1度の失敗でチャンスを奪わないのも、工藤流だ。流れが急変する短期決戦でも、選手のことを信じた。

 86年の自らを思い出した。とにかく思い切り腕を振って、8戦までもつれた広島との日本シリーズで1勝2セーブにサヨナラ打でMVPを獲得。「オープン戦ぐらいの気持ちで投げればいいんだ。『俺に言われても知らないよ』ぐらいの気持ちでね」。千賀は指揮官の思いに応えた。7回は相手の4番から始まったが、3者凡退に抑える。8回も下位打線を危なげなく打ち取った。最後はサファテが締める。勝ちパターンを完成させて、ヤクルトの勢いを再び封じ込めた。

 就任以来、最大の目標である日本シリーズの連覇まで、あと1勝に迫った。新旧監督による2年連続の日本一は史上初。それでも、指揮官は落ち着いていた。「とにかく選手を信じた。昨日のことは忘れて、新たな気持ちで試合に臨んだ。(明日も)新たな1日が始まる。全力を出して、勝てば優勝だが、勝てるゲームをやりたい。うちは元気な投手がたくさんいるんで」。数々の栄光を刻んできた男には、やはり勝利がよく似合う。【田口真一郎】