最後まで礼を尽くします-。今季限りで現役を引退し、日本ハムを退団した木佐貫洋氏(35)が25日に、今季応援大使を務める士別市を訪問することが6日までに決まった。本人たっての希望で、退団選手としては極めて異例となる、オフの球団イベント参加となる。律義な性格でチームメートやファンから愛された男が、胸に秘めた熱い思いを携えて北の大地に再降臨する。

 ユニホームを脱いだばかりの木佐貫氏には、心残りがあった。「きっと、行けないですよね」。思いをはせていた場所は士別市。今季、市川とともに応援大使を務めた人口約2万人の町だ。オフに応援大使が道内の各市町村を訪れるのが恒例も、現役をやめ、日本ハムを退団した自分に訪問の権利はあるのか…。悶々と思い悩んでいたある日、球団の担当者から携帯電話に着信。思わぬ吉報だった。

 担当者 士別市への訪問は、どうしますか?

 木佐貫 えっ? 行けないものだと思っていたんですけど…。

 担当者 大丈夫です。

 明解なGOサインに、思わず笑みがあふれた。

 礼節を重んじる人格者だからこそ、士別行きを熱望していた。「これで、市長さんに謝ることができます」。今春キャンプでは牧野勇司市長(65)から名産のラム肉やお米「ゆめぴりか」を贈呈された。1軍での活躍を願う激励も今季は2軍暮らし。昇格は引退試合となった9月30日ロッテ戦(札幌ドーム)のみで、期待を裏切った痛恨の思いが心に引っかかっていた。

 切望していた、おわび行脚が実現する。喜びはひとしおも、1つだけ残念な知らせが舞い込んだ。当日はスケジュールの都合で車移動となる見込み。球界随一の“乗り鉄”として、引退会見で明かした「旭川より上、(士別駅のある)宗谷本線は攻めきれていないので行けたら北上したい」という野望は、お預け。「出来れば電車で行きたかったです」。無念の思いは心の奥底にしまい、感謝の気持ちを伝えに行く。