12日午後1時過ぎ、鳴尾浜球場のグラウンドに阪神藤浪が出てきた。だれもいない。整備車の音、カメラマンのシャッターの音だけが響く中で1人、走り始めた。ポール間、約150メートルを黙々と往復した。
走った後も同様にだれもいないウエート室に2時間近くこもった。昨年は広島前田らと合同で自主トレをしたが、今年は“地元”鳴尾浜で1人で鍛える姿が目立つ。自ら孤独になろうとしたわけではないが、孤独が似合う。エースの風格だった。
「たまたま都合が合わなかっただけなんで。1人になろうとして、なったわけではないです。ただ、メニューも自分で組めますしだれかに言われたことをやっているわけではないです」
筋肉のよろいをさらに重ねて体重95キロにまで肉体は増強された。昨秋に金本監督から筋力トレの指南も受けたが、そのままのメニューではない。これまで経験したものと組み合わせた藤浪だけのメニューだという。
実績を残すほど、実力をつけるほど孤独に、孤高になる。それが、また自分を上へと押し上げる。独り自分と向き合う藤浪の姿は一流選手に共通するオーラを放っていた。【鈴木忠平】



