ハマの青空にきれいなアーチがかかった。楽天のドラフト1位オコエ瑠偉外野手(18)が、「日本生命セ・パ交流戦」のDeNA戦の3回先頭で、今永から待望の1号を放った。プロ入り28試合目の72打席目だった。オコエが1番に入ってからチームは4勝2敗と好調で、交流戦の勝ち越しも決めた。

 打った瞬間に分かった。オコエは打球の行方を見詰めながら走り始め、着弾を確認すると「ヨッシャー」とほえてバットを放り投げた。1-0で迎えた3回先頭。今永の初球138キロ内寄り高め直球を振り抜いた。左中間席中段まで届いた。「今永さんはストレートを自信持って投げてくる投手。それをしっかり捉えることが課題だった。1打席目差され気味だった反省が生きました」。直球狙いだった。1打席目の3球で対応してみせた。ホームランボールは「実家にドでかい段ボールで送ります」と言って笑った。

 本塁打が生まれる予兆はあった。地面と平行のレベルスイングより、ややアッパー気味の9度の角度でバットを振り上げてボールを捉えると、最も打球が遠くへ飛ぶという。入団当初、スイングのたびにこの角度が大きくばらついていたが、6月初旬の計測では平均して9度に近い値になっていた。計測を担当する久村浩寮長兼トレーニングコーチ担当は「スイングスピードの向上もありますが、今は常に9度に近い角度で打てていることが大きい。長打を打つために重要な要素が身に付きつつあります」と説明した。

 プロのスピードに慣れる早さ、能力の高さを示し続けているが、少年の心は残っている。中学で初めてホームランを打った3年春、試合前の睡眠時間が7時間半だった。以来、試合前の睡眠時間は7時間半を基準にしているという。その“ルーティン”が実ったのかもしれない。

 偶然にも試合前、梨田監督が将来像を話していた。「ホームランを打ってね。長打が打てるようになれば3番がいい。(ヤクルト)山田のような感じになってくれるといいんだけど」と、球界を代表する右の好打者を理想型に挙げた。「そろそろ出てもいいかなと思っていた。試合前に言ってた通りになったね」。監督の願い通りに打つのだから、やはり何かを持っているゴールデンルーキーだ。【矢後洋一】

 ▼オコエがプロ初本塁打。高卒新人の本塁打は15年9月5日岡本(巨人)以来で、楽天では初めて。交流戦で高卒新人の本塁打は、12年6月17日高橋周(中日)がオリックス戦で記録して以来2本目になる。この日は1番で出場。ドラフト制後(66年以降)、本塁打を打った高卒新人は36人目だが、先発1番で記録したのは68年6月4~6日広島戦で3戦連発の江島(中日)74年10月6日ヤクルト戦の掛布(阪神)に次いで42年ぶり3人目。パ・リーグではドラフト制以前を含めて2番から9番までは高卒新人の本塁打が出ているが、これまで1番だけはなし。オコエがリーグ史上初めて高卒新人の1番打者として本塁打を放った。