3戦勝負になった首位攻防戦は、仙台大が8-3で東北福祉大に連勝して勝ち点1を獲得。チーム最終カードになる次節優勝に王手をかけた。前日2日の第2戦で通算115安打のリーグ新をマークした3番松本桃太郎三塁手(4年=北海)が、この日も2本塁打を含む3安打4打点と大当たり。打率、打点、本塁打の打撃3部門で首位に立ち、1年秋以来、自身2度目になる3冠王獲得に前進した。チームは次節(8、9日)、東北学院大戦で勝ち点を挙げれば、3季ぶり5度目の優勝が決まる。

 通算安打記録を25年ぶりに更新したばかりの松本が「桃太郎劇場」の第2幕をスタートさせた。

 第1打席から3打席連続安打で度肝を抜いた。1回表2死に右翼越えに先制アーチ。続く3回表1死二、三塁では走者一掃の中前2点適時打を放ち、さらに4回表2死、右翼席に今季3号のダメ押し弾をたたき込んだ。自身初の1試合2本塁打。歴代4位の通算17本塁打とし、2季連続4度目になる本塁打王獲得の条件も満たした。

 打率(5割)と打点(8打点)でも首位に立ち、史上初になる2度目の3冠王も射程に捉えた。松本は「安打の数ばかり気にしていてタイトルのことは考えていませんでした。勝てば何でもいい。大学最後のリーグなので優勝して終わりたい」と話した。

 重圧から解き放たれた。安打記録を更新した前日は、無料通信アプリ・LINE(ライン)で50件以上の祝福を受けたという。記録更新から一夜明けて「すごい気が楽になりました。すっきりした気分で打席に入れました」と好結果につなげた。8回表2死二、三塁の最終打席では、同じプロ志望の東北福祉大・長坂拳弥捕手(4年)と対話。「福祉大で最後の打席だよ」とつぶやいたが、「ごめん、サインが出ている」と第1戦目に続く2度目の敬遠。だが、不満はない。今春神宮出場のライバルを倒し、10打数6安打をマークした同カード3連戦で記録を更新したことに価値がある。松本は「4年間、福祉大と戦って成長できた。四球も胸を張っていえる一生の思い出。楽しかった」と感謝した。

 すでにプロ志望届を提出。当初、リストアップしている球団は少なかったが、赤丸急上昇中だ。「桃太郎劇場」の千両役者は「優勝することだけを考えたい」と、大学生活の有終の美を目指す。【佐々木雄高】