「巨人の菊池」を目指す。大学NO・1野手の呼び声が高い中京学院大・吉川尚輝内野手(4年=中京)が、巨人から1位指名された。目標は大学の先輩でもある広島菊池。巨人では手薄な二塁手での起用構想が浮上しており、シュアな打撃と華麗な守備で、坂本と鉄壁の二遊間を築く。

 指名の瞬間は驚きの表情を見せた吉川は、すぐに引き締めた。真っすぐ見据えた先には、日本球界を代表する名手になった先輩が浮かんでいた。「中京学院大の先輩、(広島)菊池さんのように守備で魅了する選手になりたい」と目を輝かせた。

 今年の全日本大学選手権を制して、知名度が全国区にブレーク。これまで遊撃の守備に就くことが多かったが、大学日本代表で二塁の経験もあり「セカンドで勝負したい」と坂本の相棒を意気込んだ。もちろん「両方(遊撃と二塁)の気持ちもある。坂本さんのプレーを参考にして抜けるような選手になりたい」と、将来は坂本を超えたい思いも秘めている。

 プロのスタート地点に立った。巨人に指名された直後の午後5時40分。近藤正監督(68)に広島菊池から「すごいですね」と電話が入った。吉川は「菊池さんの守備はまねするのは難しい。少しでも追いつきたい」。約1年前、オフで中京学院大の多くの選手が暮らすアパートの事務所を菊池が訪れたことがある。吉川はすぐに駆けつけ、サインをもらったという。自室の見えるところに飾っており、今でも宝物だ。

 相思相愛だ。家族は大の巨人ファン。父好(このむ)さん(58)が晩酌をしながら観戦していた巨人戦を吉川も見ていた。自然と巨人ファンになった。緊張でこの1カ月はなかなか寝付けず、体重も落ちたというが、「昔から伝統のある強いチーム。本当に幸せです」。座右の銘は「結果が全て」。憧れの球団のキャップをかぶってチームメートから胴上げの祝福を受け、白い歯をこぼした。【宮崎えり子】