試練をドハデに乗り越えた。就任2年目の開幕で、古巣の敵地マツダスタジアムに乗り込んだ阪神金本知憲監督(48)が激しい猛攻で今季1勝目をもぎとった。9回に福留の2ランで10点目を挙げ、開幕戦の2桁得点は55年以来62年ぶり。広島との開幕戦を「試練」と表現した金本監督だが、1番高山とクリーンアップが3安打猛打賞でそろい踏みの16安打猛攻に手をたたいた。

 4時間に及ぶ乱戦だった。打ちまくり、エラーもしまくった。開幕戦白星の味は、いかなるものか。金本監督の表情はどこか柔らかかった。

 「ドキドキハラハラ。疲れました…。打つ方は純粋にほめてやりたい。悪く言えば、雑な試合に見えるが、そんな気を抜いたプレーでもない。原口のプレーにしても、新しいポジションで技術的に未熟というだけ。大目に見ましょう」

 ミスを怒ろうと思えば、怒れたはず。指揮官はそうせずに、勝利をポジティブに受け止めた。守備が乱れても、昨年の覇者を攻撃で圧倒した。開幕戦の2桁得点は実に62年ぶり。前を向く姿勢を評価した。

 広島との開幕カードを「試練」と表現した。敵地で、しかも苦手とするジョンソンが相手。鍛え上げた若手や不振に苦しんだベテラン、中堅がどう反発力を見せるか。1回、3回はいずれも1番高山がヒットを放ち、チャンスを作った。金本監督は続く上本にバントのサインは出さない。強攻策が実り、序盤で5得点と左腕を攻略した。「上本に懸けた。調子もよさそうだったし、ハナからバントは好きではない。そういう野球を去年からやってきて、上本が応えてくれた」。指揮官の強気がチームに乗り移る。5番起用した原口も2点目のタイムリーを放つなど、育てた若手が試練に立ち向かった。

 昨年は4位に終わったが、自らの信念は揺るがない。「骨太のチームを作りたい。普通にやれば、勝てますよ、というような」。育てながら勝つという難関に正面から挑んでいる。この日の午前中。原口や高山、北條ら若手は雨の中、マツダスタジアムに向かった。ブルペンを借り、約1時間のティー打撃。昨年のシーズン中盤から取り組む遠征時の早出特打だ。今季も継続するように指示した。開幕戦といえども、例外ではない。そして、教え子たちが応えてくれた。

 開幕戦恒例の出陣式。金本監督はこうゲキを飛ばした。「1つの勝ちをもっとみんなで喜ぼう。1つの負けに対しても、もっと悔しさを持って戦っていこう」。1年間、苦楽をともにする。ベテランの活躍に、中堅、若手の奮闘。開幕戦の白星がこれから進むべき道を照らした。【田口真一郎】