超目玉を引き当てた。「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が26日、都内のホテルで開催され、日本ハムが1位で7球団競合の末、早実・清宮幸太郎内野手(3年)の交渉権を獲得した。95年福留に並ぶ野手最多7球団の抽選となり、木田優夫GM補佐(49)が3番目に左手で当たりくじを引いた。高校通算111本塁打のスラッガーに栗山英樹監督(56)は「待っています」とラブコールを送った。

 壇上の木田GM補佐が右手を突き上げるのと、円卓に座る栗山監督が両拳を握るのはほぼ同時だった。昨年までのくじ引き5連敗で大役を譲った栗山監督は「(木田GM補佐の)後ろ姿を見てて、手を上げろ! 上げろ! 上げた!! っていう感じ。感動しました。野球の神様が、大切な宝物を我々に預けてくださった」。興奮気味にまくし立てた。早ければ今日27日にも、自ら指名あいさつに向かう。

 お笑い界の至宝に授かったアドバイスで、球界の宝をつかみ取った。木田GM補佐は前日25日、親交のある明石家さんまに連絡を入れ、対面した。「くじといえば明石家さんまさんでしょ」。かつてテレビ番組「ひょうきん族」で「あみだババァ」のキャラが人気だったさんまから、「左手でいけ」と背中を押された。栗山監督も験担ぎは「死ぬほどした」。早稲田カラーのえんじ色を身につけ、勝利の神様が宿る東郷神社を訪れて、内ポケットには「勝ち守り」をしのばせた。昨秋には東京都大会を直接視察。早くから才能にほれ込んできた。

 ドラフト戦略では、独自路線を貫いてきた。早くから清宮を最上位の候補とし、揺るぎない評価をする一方で、清宮撤退を表明していた広島以外の10球団が足を運んだ本人、親との面談には参加しなかった。球団幹部は「連絡は取っているし、いまさら会って話す必要もないから」。育成に定評もあり、メジャー挑戦の夢を後押しする下地もある。わざわざ“プレゼン”しなくても、指名に難色を示すことはないという自信が、他球団とは一線を画していた。

 5年前、高卒新人で入団した大谷は、開幕戦で野手デビューし2安打を放った。投打二刀流で数々の伝説を築き上げ、今オフ、いよいよ海を渡る。栗山監督は清宮の未来図について「いろいろなイメージはある。日本の、世界のホームランバッターにするんだという思いがこっちにはある」。現在ワールドシリーズを戦うダルビッシュから脈々と受け継がれるスターの系譜。北の大地に、またまばゆい新星が光り輝く。【本間翼】