「大曲の花火」に負けない、全国区になる。広島育成2位の大曲工・藤井黎來(れいら)投手(18)が7日、秋田・大仙市内で仮契約を結んだ。支度金300万円、年俸240万円(金額は推定)。まずは下半身強化に努め、1年での支配下登録に挑む。目標の選手は広島OBでメジャーリーグで活躍する前田健太投手(ドジャース)。近い将来、プロ野球界に大きな花火を打ち上げるつもりだ。

 広島の赤い帽子をかぶり、藤井の導火線にも火がついた。「大曲といえば花火が有名です。プロで活躍して、自分も花火に負けないくらい有名になりたい気持ちがあります」。大曲工初のプロ野球選手として、地元が誇る花火競技大会以上の知名度を。「秋田県を代表する投手になって、少年野球をやっている子どもたちに夢を与えたい」。ドカーンと大輪を咲かせる決意を表明した。

 182センチ、86キロの体格から最速145キロの直球と決め球フォークが武器。高2夏には甲子園に出場し花咲徳栄相手に好投。今夏の県大会は3回戦の大曲農戦で無安打無得点をマークしている。「前田健太さんのように、真っすぐに力があって、フォークや変化球も素晴らしい投手になりたいです」。だが「まずは下半身をもっと強くしないといけない。人一倍走りたい」と課題も明確だ。今秋からは、花火大会の会場でもある雄物川河川敷などを毎日5~8キロ。1時間以上のランニングを続けて、来年1月から始まる合同自主トレに備えている。

 まずは背番号3ケタでのスタートだが、早くも同校OB会や花火大会を主催する大曲商工会議のメンバーから、後援会結成の声も挙がっている。「1年くらいで支配下登録に上がりたい」と意気揚々。「常に笑顔でいることが自分の売りだと思っているので、ファンの心もつかんでいきたい」。カープ女子らの後押しにも期待する。藤井が抑えたら「タマヤ~」の大声援? 新しい本拠マツダスタジアムの風物詩となるか-。【鎌田直秀】

 ◆大曲の花火大会 秋田県大仙市大曲地区の雄物川河川敷運動公園で開催される全国花火競技大会。通称は「大曲の花火」。土浦、長岡と並ぶ、日本3大花火大会の1つで、毎年8月第4土曜に実施。1910年(明43)に「奥羽六県煙火共進会」として第1回が行われ、今年で91回を数える国内で最も歴史と権威のある競技大会。花火師が腕を競い合い、創造花火やスターマインの華やかさなどを競う。人口約4万人の大曲地区に約70万人が訪れる。