広島緒方孝市監督(49)が日刊スポーツの新春インタビューで、球団史上初の3連覇がかかる18年への決意を語った。重圧がかかる新シーズンを前に、就任4年目の指揮官は泰然自若で前を見据えた。主力選手に真の強さを、若手にはアピールを求める。常にチーム内に競争を求め、チーム力を上げてきたその手腕に、今年も期待が高まる。【聞き手=前原淳、池本泰尚】
-新年を迎えた
緒方監督 昨年は連覇を成し遂げたといっても、クライマックスで負けている。一昨年も日本シリーズで負けた。いずれもマツダスタジアムで負けているので、達成感よりも負けた悔しさの方が大きい。昨年は日本一という期待をひしひしと感じていたが、応えられなかった。今年こそは、という気持ちでいる。
-監督は「毎年、チームの色は変わる」と言っている
緒方監督 昨年は丸がMVPを受賞し、田中が2年連続フルイニング出場。キク(菊池)も含めて、彼ら3人は本当にレギュラーとして働いてくれた。ただ、彼らには「隙を見せるな」「ほかの選手にチャンスを与えるな」と言っている。慢心や過信などがあれば、すぐにとってかわる選手が出てくる世界。実力と実績だけでなく、そのときの力も見せつけてチームを引っ張っていってくれというメッセージを彼らに伝えたい。
-4番については
緒方監督 不完全燃焼だった誠也が、シーズン終盤とクライマックスシリーズにいられなかった悔しさを今年どのように見せてくれるか。本当の4番となるシーズンにしなくてはいけないし、こちらも期待している。ただ、与えるわけではない。松山やバティスタらとの競争の中で名を連ねてもらいたい。
-ポジションを与えて成長を促すのではなく、常に競争を求める
緒方監督 レギュラーとして責任感を持って戦ってもらうのは当たり前だが、好不調もあればケガなどイレギュラーなこともある。選手個人に責任を背負わせるようなことはしたくない。
-昨年は野手が投手を育てた
緒方監督 長いペナントレースはやっぱり投手力。大きな鍵になる。先発の数も中継ぎの数もしっかりしないといけない。優勝に貢献した薮田は昨年、ワンチャンスを生かした。薮田だけでなく、岡田、大瀬良、九里と、先発として手を挙げている選手は昨年の成績が最低ラインになる。ここからどう成長していくか見てみたい。そのほかの若い投手にもチャンスをあげようと思っている。それだけのものを見せてくれれば。練習ができていなければ、1日でも広島に戻ってもらうと伝えている。来季も競争。そこからスタートしてもらう。
-今年の新人には即戦力候補が少ない
緒方監督 今年は素材重視で魅力ある選手を取ったドラフトだった。来年、再来年しっかりチームの底上げとなる選手が入ったと思っている。いい素質の選手が入ったと思うし、すごく楽しみ。最近は高校からでも基礎体力が高い。(ドラフト1位)中村にしても出てくるのも早いと思う。
-他球団の動向は
緒方監督 気になる気にならないというものではなく、どんな戦力で来るのかは見ておかないといけない。動向だけはしっかり見ている。ただ、他球団の戦力に合わせて戦うわけじゃない。昨季までやってきた野球の精度をさらに上げていくことを目指すだけ。
-セ・リーグ2球団目、球団初の3連覇へ向けて
緒方監督 新たな気持ちで、リーグ優勝に向けた戦いが始まる。どんな準備をして臨むのか。(就任4年目も)経験して甘んじるのではなく、経験したからこそ、あれもやらなければいけない、これもやらなければいけないとなる。尽きることはない。それはシーズン通してやっていかないといけないこと。過度な重圧を感じているというよりも、毎年その気持ちは変わらない。