西武が、1991年(平3)以来27年ぶりの開幕8連勝を決めた。1点を追う7回に打者一巡の猛攻。外崎修汰内野手(25)の逆転適時打を含む5長短打で6点を挙げ、一気にひっくり返した。“振り切るDNA”を引き継ぐ獅子打線の強さが際立った。

 振り切ってつないだ。1点を追う7回無死満塁。外崎は内角に甘く入ったチェンジアップを逃さず、たたいた。鋭いライナーで左前に運ぶ決勝の2点適時打。「結果を恐れずに思い切っていこうと。初球の同じ球を自分のタイミングで振って空振りしたことが安打につながったと思う」とうなずいた。

 5長短打を集め、この回一挙6得点。逆転劇の土台作りも、ダメ押し点も、全打球が力強かった。先頭山川は低めのカットボールを捉えての左前打。続く森は高めの変化球をはじき返す左翼線二塁打。秋山の適時打は、二塁手のグラブをはじく低弾道で中前に抜けた。当てにいくスイングは一切なし。全員がバットを振り切った。

 受け継がれるDNAがある。代打で中犠飛を決めた栗山は言う。

 栗山 秋山さんや清原さん、黄金期を支えた先輩たちはみんな振り切っていた。振り切るという意識は身近なお手本から感じて、学び、教えられ、脈々と受け継がれてきていると思う。

 栗山は若手時代、清原らを育てた土井正博打撃コーチ(現中日打撃コーチ)から「当てるな。振り切れ」とたたき込まれてきた。その姿勢は、2年目の源田にも継承されている。「去年1軍に上がったばかりの頃は、打撃ケージに入りたくなかった。みんなすごい打球で…。自分の打球はひ弱で恥ずかしかった」。そこから徹底的に振り込み、不動の遊撃手に定着。この日の7回に放った適時二塁打は「捉えられる球を自分のスイングで捉える」ことに集中し、外寄り高めの直球を振り切った。バットのヘッドを利かせたからこそ、左翼手の頭上を越える強い打球になった。

 これでチームは91年以来の開幕8連勝。辻監督は「頼もしい。みんなしっかり振れている。選手それぞれが自分のやるべきことを考え、それに応える技術も上がってきている」と目を細めた。8連勝中、1イニングで5点以上奪ったのは4度目。勢いだけでは決してない。黄金期からの“振り切るDNA”がつながり、集中打を生み出している。【佐竹実】