4番の意地だ! 阪神新助っ人のウィリン・ロサリオ内野手(29)が8日、中日3回戦(京セラドーム大阪)で一時4点差を追いつく一打を放った。7回2死満塁で三遊間を割る2点適時同点打。一塁ベースに到達すると、闘志をむき出してガッツポーズ。チームは敗れたが、ロサリオの気迫があれば10日からの王者広島とも十分に張り合える。

 高ぶる感情を一気に爆発させた。ロサリオは一塁ベースに到達すると、頭に血が上るほど叫び倒した。ベンチに向かって、アッパーを打ち込むように右腕を強く伸ばす。仲間が送った拍手にパンチで応えた。

 「すごい雰囲気はいいかなと思っている。このチームに来られてうれしく思ってます。自分もなんとか、このチームのためにやっていきたい」

 4点差を2点差に詰めて迎えた7回2死満塁。一打同点の場面で打席に入る。マウンドの又吉をじっとにらんでバットを構えた。カウント1-1からの3球目。力強さをにじませたスイングで、内角に入ってきた144キロシュートを三遊間にはじき返した。「このところタイミングをずっと探しながら練習してたので、それがうまくコンタクトしてヒットになってくれてよかったかなと思います。これを続けていくことがチームのためになると思う」。敗れはしたが、竜にかみつく意地の同点打だった。

 探していたのはタイミングだけでない。打席に連れていく相棒は状況によって使い分ける。この日は3打席目まで黒色バットを持って打席に入っていたが凡退。意地の一撃は木目の見えるバット。相手投手に対応するために、よく考え込んでからベンチを出る。

 「韓国のときは2年間、同じバットを使っていたけど、日本に来てミズノのバットを使うようになった。木の材質的にもちょっと硬いかなという印象もあったので、それに早く慣れたい」

 感情を前面に出したが、冷静さも兼ね備える。5回のピンチではマウンドに足を運び、バッテリーと3人で肩を組んで一呼吸置かせた。メジャーでの捕手経験があるからこそできる行動だ。「自分のためだけじゃなくて、チームの状態も上げていきたい。明日しっかり休んでまた来週から戦う姿勢を見せていきたい」。この試合で無安打なら打率1割台転落の危機もあったロサリオだが、浮上のきっかけはつかんだ。10日からの王者広島戦も4番の意地を見せつける。【真柴健】